「原理原則」の7番目のテーマ、「収益性の確保―損益分岐点を引き下げる」について考えている。前回まで、これの収入面、すなわち「付加価値↓価格設定↓高料金化↓そのための戦略」といった流れを追ってきた。ここからはコスト面に目を向けたい。とはいっても、コスト削減策を具体的に掘り下げるわけではない。コストというものを全体として俯瞰する視点である。
(5)損益分岐点について
テーマが「損益分岐点を引き下げる」にあるので、まずは損益分岐点というものに簡単にふれておく。経営分析について少しでもかじったことのある方には、「釈迦(しゃか)に説法」となる話だが、おゆるし願いたい。
損益分岐点分析では、コストを固定費と変動費の二つに区分して捉える。固定費とは、売り上げのある・なしに関係なく一定にかかる費用。変動費とは、売り上げに比例してかかる費用だ。そして損益分岐点売上高とは、この固定費と変動費の合計額(=総費用)とちょうど一致するところで、黒字と赤字の分かれ目となる売上高のことを言う。念のため、これの解説でよく目にする図表も掲げておく。
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