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「第8波(?)」で12月以降の予約にブレーキがかかっていると聞く。ただこれは半ば希望的観測だが、旅行需要はこのような波動を繰り返しながらも、大勢としては回復に向かっていると捉えたい。またいずれにしても、やっていくべきことに大きな違いはない。
前回に続き、「人心の喚起」↓そのための「意欲を生みだす方策」について考える。
(3)意欲を生みだす方策(続き)
(ⅶ)改善提案制度
トヨタ自動車に代表されるような改善提案制度を取り入れる意義は、言うまでもなく大きい。うまくすれば生産性の向上と膨大なノウハウの蓄積が実現でき、他方で従業員の意欲喚起にも大いにつながる。
イメージしやすい制度なので、旅館経営者にも、かつて導入を考えた人は少なからずいるのではないだろうか。だが、試みたことのある人には分かるだろうが、実際にこれを機能させるのはなかなか難しい。「笛吹けど踊らず」となる。一番の要因は、「大半の従業員が興味を示さない」ことにある。中には意欲的な人もいるだろうが、「改善提案」の推進を会社の方針として考えるなら、一部の人だけの活動ではあまり意味がない。ではどうしたらよいか?
・インセンティブ
褒賞金である。やはりこれ抜きに考えるのは現実的でない。「内容はともかく提案1件につきいくら」で与える賞金と、選考の上で良い提案に与える賞金の二段構えが考えられる。
・具体事例
多くの人が、そもそもいったいどんなことを提案したらよいのか分からない。だから最初はまず、具体的な改善事例を見せて、「ああ、そういうことか」とイメージをつかんでもらう必要がある。
・経営意思
この制度導入がトップの意思として行う経営方針であり、これに前向きに取り組むことが自社の「正義」であるという位置づけをしっかり伝えることが肝心だ。もしそういうものでないとしたら…改善提案制度などやらない方がよい。
・提案の取り扱い
提案には必ず結論を出すこと。現実的な良い提案なら速やかに実施し、そうでないものは理由を添えて却下する。良い提案だが費用がかかるとか、時間を要する、といったものもあるだろう。それはそれで、今後の計画なり課題に落とし込んでいくことだ。
・繰り返し促進
提案は毎月一定期日に締めて集計し、審査するのがよいと思うが、その結果を会議や朝礼などで発表する。そして、その都度、提案数と内容の質についてコメントし、そこに意識を向けるよう、繰り返し促していく。
以上が、この制度をうまく機能させるための方策だが、当然ながら前提として、整えたり決めておくべきことがいくつかある。
●提案フォーム(提案用紙)●記入要領もしくは記入例●提出締め日・選考日・結果発表日の設定●インセンティブの設定(ランク・金額・頻度)●選考評価者(もしくは選考委員会を組織)●評価方法(評価観点・基準など)。
それなりに面倒ではあるが、最初に述べたように、これは実利面でも意欲喚起面でも大きな効果が期待でき、変革のカギともなるものなので、この時期に検討してはいかがだろうか。
(リョケン代表取締役社長)