![](https://i0.wp.com/www.kankokeizai.com/wp-content/uploads/211018i.jpg?resize=320%2C320&ssl=1)
前回に続き、ニュースリリースのポイントについてお伝えしていきたい。申し上げたように、ニュースリリースにおける「コツ」は、広告や各種の案内物などにも通ずる点が多い。
(4)ニュースリリースのポイント(前回続き)
(ⅲ)適切なボリューム
編集に携わっている担当者は、まず忙しい。パッと見て「使えそうな情報か否か」は瞬時に判断されるので、いたずらに文量を多くすることは避けたい。特に基準はないが、サマリー(要点)はなるべくA4サイズ1枚にまとめたい。全体でも、補足資料を含め3~4枚ぐらいが適当かと思う。ただし本当に伝えるべき中身が十分にある場合は、無理に圧縮する必要もなかろう。要は、情報の濃さに応じた適切な文量とすることだ。
(ⅳ)整理して伝える
漫然と長ったらしい文章で書くのは稚拙の極みである。伝えるべきことをきちんと整理しよう。情報の内容に序列をつけて要点をつかみやすくすることだ。
まず全体を【概要】【本企画の特徴】【利用方法】【補足】のように大きく区分けして示す。そしてそれぞれの内容は、必要に応じて「箇条書き」にする。さらにその項目ごとに、なるべく短い「見出しフレーズ」を入れること―これが大事だ。たとえば【本企画の特徴】であれば…「1、実験だから期間中は参加費無料」「2、世界で1つのお土産付き」「3、ひとりでも参加できる」…といった具合だ。このように整理しておけば、見出しのフレーズはそのまま使えて記者も考える手間が省けるし、読者や視聴者には情報がひずみなく伝わる。
なお、見出しフレーズにもなるべく「そそる言葉」を選ぶべきことは前回述べた「ヘッドライン」と同じである。
(ⅴ)具体的に
説明文の中で、抽象的な修飾語句を書き並べるのはあまりよろしくない。「すばらしい」「くつろぎの」「ゆったり」といった情緒的な言葉には、基本的に「ニュース価値」はない。使ってはいけないというわけではないが、入れれば入れるだけ説明文の中身は「薄まる」と心得たい。乱用は避けよう。
代わりに、できるだけニュース価値となる「具体的な事実」を詰め込もう。受賞、認定、格付け、ランキングといった公的評価は大いに利用したい。また事実を示す際には、「5W1H」を踏まえて表すとよい。
(ⅵ)数字を入れる
数字は説得力を高める魔法の力を持つ。「96%の人が『他のとは違う』と言った」「72時間ねかせた…」「厚さ3センチの…」「7度の失敗を繰り返し、8度目の挑戦で完成」などといった表現が考えられる。
逆に見れば、そのように数字で表せる「事実」を持つことが大切だと言える。
(ⅶ)ドラマを描く
何の障害もなく実現したことよりも、艱難(かんなん)辛苦を乗り越えたドラマがある方が記事になりやすい。結果だけ見せられても、実のところあまり面白くないのだ。だからニュースとなる成果に至った経緯=ストーリーを伝えよう。
苦難の道のりや辛く厳しい現実との直面、誰かの人生にかかわる逸話などを織り込むことだ。不謹慎だが、災害、事故、事件、悲しい出来事などがからんでいればなお効果的と言える。
次回もまたこの続きをお伝えしていきたい。
(リョケン代表取締役社長)