
お客さまの中には、チェックイン前やチェックアウト後に荷物を預ける方がいます。大きな荷物を持っての観光は大変ですから、これから宿泊する、あるいは宿泊した旅館ホテルに一時荷物預りを希望するのです。その際、引換券を渡すなどの業務もフロント係が行います。
チェックアウトはお客さまが集中し、混み合う時間帯です。お客さまから鍵を受け取り、手続きをします。追加料金が発生している場合は精算した金額をお客さまに提示します。
●案内業務
案内業務もフロント係の主要な仕事です。
最近は機械が受付を行っているホテルがあります。人手不足の効率化に対応するためですが、果たして、それでいいのでしょうか。旅館ホテルの良いところは、人でなければできないおもてなしをすることです。少なくとも案内のプロであるフロント係は人が行うことを大切にしたいものです。人だからこそ、お客さまの細かいご要望に応えることも可能なのです。
フロントには周辺地域の観光パンフレットが置かれ、そこには飲食店のある場所、列車の時刻表などが記されています。お客さまがフロントで聞くことはだいたい決まっていますから、関心を持ちそうなものをフロント係が周辺の地図などと共にお渡ししてご案内します。観光農園、お昼の食事処、酒蔵やワイナリーのある場所など。製造工場の見学や予約の難しい観光スポットの手配、さらにタクシーの手配もします。また、マッサージ、芸者やコンパニオンなどの派遣依頼もフロント係が行います。
お客さまはウェブサイトを見て、事前に下調べをしてから来館される方が多いですが、フロントでウェブサイトに出ていない、地元の人しか知らない最新の情報を教えて差し上げるととても喜ばれます。フロント係に限らず、スタッフは皆、お客さまのことを考え、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、ウェブサイトから、お客さまが興味を持つ情報を集めておきましょう。
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■日本ホテルレストラン経営研究所=ホスピタリティ業界(旅館、ホテル、レストラン、ブライダル、観光、介護)の人材育成と国際交流へ貢献することを目的とするNPO法人。同研究所の大谷晃理事長、鈴木はるみ上席研究員が監修する書籍「『旅館ホテル』のおもてなし」が星雲社から発売中。問い合わせは同社TEL03(3868)3275。