【旅館ホテルのおもてなし 19】ご予約からお見送りまで6 大谷 晃


 ■外国人のお客さまの場合

 近年、日本を訪れる外国人のお客さまが急増しています。多くの方が和室を使われるのは初めてです。基本的なマナーをお教えするだけでなく、日本人のお客さまに対するのとはまた違った気配りも忘れないようにしましょう。

 ジェスチャーでもいい、伝えることが大事

 入り口では、靴を脱ぐのがマナーとお伝えします。スリッパも同様です。畳の部屋の中で使うものと勘違いされる方がいますから、ご説明します。

 また、身長の高いお客さまには、鴨居に頭がぶつからないように特に注意を払い、お声がけをします。そのタイミングは早過ぎても遅過ぎても良くなく、頃合いが大事です。半歩先を目安に行います。英語などが苦手だからと、お声がけをためらってはいけません。ジェスチャーでもかまいません。「伝える」ことが大切です。なお、最近は翻訳アプリなど便利な製品も出回っています。複数の言語に対応できる物もありますから使いこなすと役立ちます。

 お客さま目線に立つ

 上の方ばかりに目がいっていると、足元の方がおろそかになります。和室は段差がついていることも多いので、仲居はどちらの目配りも怠らないようにします。外国人のお客さまは背の高い方が多く、小柄な日本人とは視点が違います。常にお客さまの立場に立っておもてなしをするように心がけましょう。

 他にも、障子や襖は取っ手を持って開けること、床の間には荷物を置かないことなどを伝えます。

 また、座布団も外国人のお客さまにはなじみがありません。つらそうな方には、低い椅子などを用意します。

 水の使い方

 外国人のお客さまで戸惑われることの一つが水です。水道水が飲めるかどうか心配されます。海外では歯磨きに使用する水でさえ、ペットボトルの水を用意しているところもあるくらいです。水道水を安全に飲める国は世界中で15カ国ぐらいですが、日本はもちろん安全に水が飲める国ですから、不安げなお客さまには説明をして差し上げましょう。

 水ということでは、最近の旅館ホテルはシャワー付きのトイレを設置しているところも珍しくありません。外国人の中には初めて目にする人が多く、使用方法が分からず困惑されるようです。 

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 ■日本ホテルレストラン経営研究所=ホスピタリティ業界(旅館、ホテル、レストラン、ブライダル、観光、介護)の人材育成と国際交流へ貢献することを目的とするNPO法人。同研究所の大谷晃理事長、鈴木はるみ上席研究員が監修する書籍「『旅館ホテル』のおもてなし」が星雲社から発売中。問い合わせは同社TEL03(3868)3275。


       

 
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