このたびの新型コロナ感染症に臨む経営対応について、三つのフェーズに切り分けて捉える考え方をお伝えしたい。三つとは「ウィズコロナ」「アフターコロナ」「ポストコロナ」である。言葉としてはどれもすでに方々で使われているものだが、弊社ではこれらを次のように位置付けてみた。
(1)ウィズコロナ
コロナ感染症が収まり需要が回復するまでのかじ取り、およびそれを行う期間。
(2)アフターコロナ
感染症の収束後に取り組むべき財務バランスの回復、いわば「コロナ戦後処理」、およびそれを行う期間。
(3)ポストコロナ
正確に言えば「ポストコロナ経営」、すなわち「コロナ後のあるべき経営のすがた」。期間を分ける概念ではなく、「質」の違いと位置付けたい。コロナ禍をくぐり抜ける過程でつくり上げる、アフターコロナ対応およびその先の企業存続を可能にする「経営体質」である。
以上を時間軸で表せば、下図のようなイメージである。
「ウィズ」と「アフター」の境目はコロナ禍の収束であり、ウィズの後にアフターがある―つまり時期で区分される。これに対し「ポスト」は、コロナ後に向けて築いていく新たな経営のかたちであり、この図は、そこへの構造転換を「ウィズ」の今から進めていくべきことを表している。
「ウィズコロナ」時期の主な対応課題は次のようなものである。
・資金繰り(運転資金の確保)
・社員の出勤コントロール
・各種助成金・給付金の受給
・感染防止対策とそのアピール
・料理献立数の絞り込み
・冗費の切り詰め
・スリムな運営体制
・外部委託業務の見直し(内製化など)
・足元の集客対策
「アフターコロナ」時期の主な対応課題は次の通り。
・財務改善目標の設定
・中期資金繰り計画
・運営人員の確保
「ポストコロナ経営」における主な対応課題は次のようなものになる。
・収益性確保への構造転換
・価値の入れ替え
・未来ビジョンを描く
▼令和3年 旅館の経営指針
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(株式会社リョケン代表取締役社長)