Go Toトラベルは、各種ケースごとの解釈や具体的な事務手続きなどがはっきりしないまま、7月22日にスタートした。前回取り上げた「Q&A」も、その後7月25日版として公表されているが、依然としてよく分からない点も多い。小欄では引き続き、宿泊施設が直接、およびOTA(ネット予約サイト)経由で予約申し込みを受ける場合を中心に要点をまとめてみる(情報は7月26日現在)。
(1)事業者登録
宿泊事業者としての事業者登録は7月21日から開始されているが、25日現在、全国で5707軒と、まだ一部にとどまっている。登録申請は、比較的容易なフォームへの入力で可能だが、一つネックとなるのが「第三者機関名」および「第三者システム名」という記入欄である。
(2)第三者機関とは?
旅行者からの直接予約を給付対象としたい場合、事務局の承認を受けた第三者機関に給付管理を委託する必要がある。JATAが掲げるスキーム図には、第三者機関として、観光協会やシステム会社などが例示されているが、実際には25日現在で承認を受けているのは「ピアトゥー」1社(システム名「STAYNAVI」)のようである。委託管理料は1.5%だ。
前述のように、事業者としての登録申請は個別の旅館・ホテルでも可能だが、すでに宿泊業3団体(全旅連、日本旅館協会、全日本シティホテル連盟)に加盟する旅館・ホテルに対しては、STAYNAVIを通してまとめて行う申請方法が案内されているかと思う。
(3)対象料金
支援対象金額は税込みベースである。入湯税も、あらかじめ料金に含まれる場合は対象となるが、現地で別途支払う場合は対象外だ。サービス料は「各事業者の判断」で、含めても含めなくてもよい。なお宿泊施設が自ら振り出す割引などの「クーポン」利用の場合、割引後の価格が基準となる。
(4)「0円」でも1人扱い
子どもや幼児も大人と同じ1人として支援対象とすることはすでに示されていたが、子供料金が発生しない「0円の場合」も、利用人数の中の1人としてカウントされる。
(5)対象地域の変更リスク
このたび、Go Toトラベルの対象から東京都内在住者と都内への旅行が適用除外とされた一方、キャンセル料は国で補償する対応がとられた。今後の感染状況によっては、同様に対象地域が変更となる可能性もあるが、その場合のキャンセル料も補償されるものと楽観してはならない。旅行者には「変更が生じるリスクがあることを十分に理解した上で、旅行の申込を行」うよう、また各事業者には「こうしたリスクがある旨を申込時に旅行者に対して丁寧に説明してください」とある。
(6)給付金の精算
参画事業者は毎月末締めで「月次報告」「実績報告」「月次請求書」を事務局に提出することになっており、「事務局は、…(中略)…適正な内容であると確認した日から、30日以内に…(中略)…給付金を振り込」むことになっている。
またQ&Aでは、「参加事業者の資金繰りの観点から、可能な限り速やかな支払いを講じるべく取り組んで…」とあるが、資金繰りには引き続き用心しておきたい。
(株式会社リョケン代表取締役社長)