【旅に出よう~温泉はにっぽんの宝~80】抜群の相性の温泉と花火 山崎まゆみ

  • 2017年8月31日

 今年も全国各地の夜空に美しい花が咲き乱れています。私のふるさとの長岡大花火大会も無事終わりました。

 毎年8月2日と3日の2日間にわたる長岡大花火大会は、昭和20年8月1日の空襲による焼野原からの復興祈願と戦没者慰霊のために1947年に始まりました。今年で70回です。戦後70年の2015年8月15日には、ハワイの真珠湾で日米両国の戦争犠牲者の慰霊として鎮魂の花火「白菊」3発が打ちあげられています。夜空に向けて白い菊の花を供花する鎮魂の花火「白菊」。あの日の白菊は格別に美しかった。白一色の尺玉。流行の音楽に合わせた花火玉を連発する豪華絢爛なスターマインとは対照的な花火ですが、それゆえ、清楚な花火は静かに心に訴えかけてきます。

 今年の長岡花火は両日とも全国生中継されました。私は3日にBS日テレで放送された中継に、長岡花火解説者として出演。温泉を専門とする私が呼ばれたのは、拙著「白菊―shiragiku―伝説の花火師・嘉瀬誠次が捧げた鎮魂の花」を出版したからですが、改めて、長岡花火の歴史と意義、そして花火のしくみ、製造過程などを花火師さんに師事して根本から学びなおしました。

 花火玉造りは、まず半球の中に着火させるための「割り薬」と炎によって色を出す化学薬品が入った「星」の2種類の火薬を詰めます。二つの半球を合わせて、紙(かつては和紙や新聞紙を用いた時代もあるが、現在はクラフト紙が主流)で巻いていくのが基本的な流れ。火薬を取り扱うので、工場は人里離れた山間部にあり、工場内では扇風機もエアコンも使わない。電化製品が万が一ショートして、その火花による引火と爆発を防ぐためです。

 「丸く開く花火が、良い花火」と花火師さんは言います。これが実に難しい。丸く開いて当たり前と思っている日本人がほとんどだと思いますが、綺麗な丸い花火を作るまでに、約30年かかるといわれているほどの職人技です。

 世界に誇る日本の花火の特徴は、真円に開くこと。日本独自の技術で、真円になるかどうかに花火師の腕が試されます。芯を持つ、複数の円を描く(例えば四重丸を描く)、開いた花火の色の変化。これらもまた日本独自の技です。

 特筆すべきは玉名(ぎょくめい)。例えば、「昇り曲導小花付 黄金すだれ小割浮模様(ノボリキョクドウツキ オウゴンスダレコワリウキモヨウ)」。長岡が得意とする三尺玉の玉名ですが、花火が開いていく順番を示していますが、そのネーミングの艶やかで響きの良さときたら! 本を書いていた時に、花火にまつわる言葉は何と日本的で美しいのだろうと惚れ惚れしていました。

 温泉と花火の相性は抜群です。温泉が日本の心ならば、花火は日本の技です。

(温泉エッセイスト)

 
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