【新年あいさつ】観光が大きくステップアップ 日本観光振興協会会長 山西健一郎


山西会長

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年は、令和という新しい時代を迎え、国際観光旅客税の導入やラグビーW杯の開催など、日本の観光や観光を取り巻く環境、そして観光施策にもさまざまな動きがあった1年でした。

 日本観光振興協会としての昨年を振り返りますと、企画政策部門を組織して、政府に対して令和2年度予算に関する要望書を提出するなどの新しい取り組みを行った1年となりました。今後も日本の観光のナショナルセンターとして、観光に取り組む地域と産業界の皆さまの意見を吸い上げ、関係する機関への提言や情報発信などに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、昨年は、ツーリズムEXPOジャパンを初めて大阪で開催し、15万人以上の皆さまにご来場いただきました。この場をお借りして、ご出展をいただいた皆さま、また開催に向けさまざまなご支援を賜りました皆さまに改めて厚く御礼を申し上げます。本年のツーリズムEXPOジャパンは、沖縄で開催することとしており、これまでのツーリズムEXPOジャパンとはひと味違った展開を行う予定です。また、東京においても商談会を開催する予定ですので、ぜひご参加をいただければ幸いです。

 国内観光全般に目を向けますと、昨年は台風15号、19号などによる風水害や、首里城の火災など数多くの災害が発生しました。被害に遭われました皆さまには改めてお見舞いを申し上げます。災害はないことが一番ではありますが、現実として、ここ数年日本では数多くの災害が発生しており、災害に対する行動計画を立て、災害を想定した訓練を行うなど、災害に対するリスク管理が大切になってきています。当協会としてもこれまで危機管理に関する観光経営研究会の開催や、イベント保険・イベント民泊団体保険など観光におけるリスク管理に関する取り組みを行っておりますが、今後はさらにこうした取り組みを強化してまいりたいと考えております。

 大きな災害が発生する一方で、「ふっこう割」などの政府の政策を通じて、被災した地域を観光という経済活動で支援するという考え方が以前より共感を得るようになってきています。2021年は東日本大震災から10年を迎えるなか、東北でのデスティネーションキャンペーンも開催されることから、本年2月には東北における観光復興をテーマとしたシンポジウムを仙台市において開催し、災害復興から次のステップを目指す地域をより強力に支援していきたいと考えております。

 また、日本全体が少子高齢化社会を迎える中で、新しいテクノロジーを利用しながら生産性の向上を図りつつ、観光産業の優秀な担い手を育成していくことは、今後の日本の観光産業を考える上でも非常に重要なことだと考えております。

 前者については、観光する地域に着いた後の地域内の複数の移動交通手段やサービスなどを結びつけ、一つのサービスとして展開するMaaSへの取り組みなどがあげられます。当協会が事務局を務める観光立国推進協議会においては、二次交通(地域交通)専門部会を昨年より設け、岩手県花巻市をモデル地域とした事業や、東北地域を対象とした交通空白地の調査を実施しております。

 後者に関しては、日本観光アカデミーでの地域における研修や、DMOに対する研修など、現在観光産業に携わっている方への支援はもちろん、明日の観光を支える世代に向けた担い手の育成にも取り組んでおります。具体的には、小学校高学年から中学生に向けた観光教育の副読本を作成、配布し、モデル授業の実施を行っているほか、大学での寄付講義も行っております。

 20年は東京オリンピック・パラリンピック大会の開催を迎えるなか、政府の訪日外国人4千万人達成の目標年でもあることから、日本の観光がこれまで以上に大きくステップアップする1年になることと思います。皆さまにおかれましても日本の観光産業の発展とともに大きな飛躍を遂げる1年になりますよう心よりご祈念を申し上げまして新春のご挨拶とさせていただきます。

 
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