【新年あいさつ】ホスピタリティ&AIサービス 国際観光施設協会会長 鈴木 裕


鈴木会長

 再びイタリアに魅せられています。学生時代は中部山岳都市と都市広場、今は分散型ホテル=アルベルゴ・ディフーゾと、都市+周辺農地による住環境=テリトーリオが面白いのです。

 世界的な価値の多様化により、時代はラグジュアリーホテルからライフスタイルホテル等の新しい業態へと移行しているようです。従来型ホテルに飽き足らないゲストが、興味ある体験を提供してくれるホテルに魅力を感じています。ソフト面ではモノからコトへの価値変動のムーブメントであり、ハード面ではリラックスでき遊び心ある空間への願望でしょうか。そんな魅力を実感したのがイタリアのアルベルゴ・ディフーゾ(以下AD)であり、テリトーリオという概念でした。

 ローマから2時間弱の中世山岳都市にあるAD Castello di ProcenoとAD Crisporti。前者は千年の歴史を持つ貴族領主の同族経営のホテルで、歴史的什器・家具に囲まれた空間の案内や中世のレシピの料理などで知的充実感を味わいました。後者も中世貴族領主所有の部屋が客室であり、レストランは村のバールです。村人から聞く世間話など興味がつきません。このような魅力ある宿泊施設がイタリアの地方再生で生まれています。農業基盤都市で美しい農地と森が残るテリトーリオという再開発地のADです。

 こうした施設での体験は新鮮であり、ゲストを魅了する施設ですが、商業的には難しい。新しい価値を商業的に成立させる必要があります。そこで生産性の向上を目指すAI対応の登場です。バック・オブ・ザ・ハウスの自動化、AIコンシェルジュ、AIファシリティーマネジメント等々、ゲストとの親密なコミュニケーション以外はすべてAIに任せられるホテル運営が求められているのではないでしょうか。

 当協会でもホテル旅館の生産性向上を目指し、ITによる見える化の研究、IT自動搬送機の開発の活動をしており、さらにAIと観光施設の研究を始めました。

 今年は「ホットなヒューマンホスピタリティー&クールなAIサービス」ホテルの初夢です。

 
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