コロナ転じてIT仕掛けの観光型再開発と為す
1.オフィス、レジデンス、ホテルという機能の境界が溶けていく
多くの人が外出自粛令により、在宅勤務を経験することになりました。オフィスでなくても家でもサテライトでも、場合によってはリゾートでも仕事ができるという実状に伴い、建築の機能の境界が溶けてオフィス、レジデンス、ホテルが融合しています。新しい施設の運営・マネジメントは、ノウハウを持っているホテルが行うことになります。
2.建築を出て町へ行こう
旅館にあらゆる機能を囲い込み、利益を最大化しようとしたことで町が衰退した温泉地の例に対し、共同温泉に客を送ることで町が活性化し、旅館も繁盛している城崎温泉が注目されています。この教訓は温泉地だけでなく、広く地方都市の問題として捉えられると思います。
機能を凝縮複合した大きい施設を造るのではなく、分散した小さな施設をITで連携させ、ホテルがマネジメントすることで町を再生することができると考えます。
3.町じゅう旅館・町じゅうホテル
日本は南北3千キロ、亜寒帯から亜熱帯に渡る美しい自然に恵まれた国土である一方、災害大国であり、2千年にわたる悲しみを乗り越えてきた風土でもあります。
悲喜こもごもの歴史を伝え知っている老舗の旅館・ホテルを町のレセプション、コンシェルジュとし、街のレストラン、温泉スパ、トレーニングジム、プール、貸し会議場、協会、神社などをITでつなぐことで一つの旅館・ホテルにできないだろうか。この企画に、ソニーマーケティング、ジョルダン、TOAが新会員となり参画してくれました。
あっという間に三ノ輪の行燈旅館で実証実験が始まり、京都でも近日中に旅館2軒で始まります。基幹プラットフォームはオープンでさまざまなサブシステムが組み込め、災害弱者である観光客にチャットボット、災害情報・避難誘導のサブシステムで安心・安全も提供できます。
4.観光による旧市街地再開発
駅前の地方銀座と国道沿いの大規模駐車場付き飲食、物販店舗という新市街地、空洞化して閑散とした旧市街という風景は地方都市によく見られます。町じゅう旅館・ホテルシステムにより旧市街地を小さく分割して再開発すれば、観光による旧市街地が再生できると思います。
今年はかなり実現性の高い夢であります。