【岐路 バスと観光 新たな関係 123】どう解決 乗務員不足20 高速バスマーケティング研究所代表 成定竜一


 そのように、まずはバス乗務員を目指す人を増やす努力を重ねると同時に、バス乗務員不足解消に向けて必要なもう一つの取り組みが、定着率の向上である。

 「バス乗務員が、入社後4年以内に離職した比率が約48%(2013年度)」という国のデータがあるが、これは極めて限られた数の事業者を対象としたヒアリングとアンケートの結果をまとめたものであり、さすがに筆者の実感値とはかけ離れている。

 とはいえ、バス乗務員の離職率は他業種と比べて高い方であることは、ほぼ間違いないだろう。

 なお、離職とは勤務していた会社を退職することであり、バス乗務員という職業をやめることとイコールではない。業界内で転職が容易だという点が離職率を高めている蓋然(がいぜん)性は大きい。

 その場合、定着率を高め(離職率を下げ)てもバス乗務員の総数不足の解消にはつながらないが、事業者側から言えば生産性の問題、また本人たちサイドから見れば生活の安定などを考え、離職率が低いに越したことはないだろう。もちろん、バス乗務員という職業に期待し思いを実現しながら、何らかの理由で他業種へ再度転職してしまう人が多いなら、それは食い止めねばならない。

 それでは、バス業界において、乗務員の定着率を高めるために乗り越えるべきキーになる課題は何だろうか? 筆者が特に注目しているのが、乗務員に対する人事評価制度と処遇との関係である。

 従業員の働き(プロセスおよび成果)を客観的に評価し、それを処遇や育成に活用することが重要であることは言うまでもない。ただし、バス乗務員については二つの問題がある。

 一つは、一人で乗務することが多いという業務の性格上、客観的な評価が困難である点。もう一つは、これは人事に限らずすべての領域で言えることだが、私鉄系など大手の事業者と、個人経営に近い零細事業者など事業者の規模やタイプによって取り組みレベルの差があまりに大きすぎることである。

(高速バスマーケティング研究所代表)

 
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