【岐路 バスと観光 新たな関係 100】高速バスのバスターミナル13 成定竜一

  • 2018年7月31日

 例えば、現在、東京駅八重洲口から道路を挟んだ街区で進んでいる高速バスターミナルの計画でいえば、開発の主体は地元自治体である東京都中央区である。

 中央区にとって、これまで「インバウンドのバスの問題」といえば、中国や台湾からの訪日バスツアー、いわゆる「爆買いツアー」の貸し切りバスが、銀座の百貨店や免税店の前の公道で乗客を乗降させ、渋滞などを引き起こしていた問題であっただろう。

 しかし、FIT化が急速に進展したことで「爆買いツアー」は急減し、この問題は一段落した。一方、今後はFIT向けの着地型商品(定期観光バスの外国語コースや、募集型企画旅行型式の着地型ツアー)が増加することが考えられる。

 現状では、最も人気のある着地型商品である、はとバスの外国語コース(定期観光バス)と、JTBグループによる「サンライズツアー」(募集型企画旅行)の発着が浜松町バスターミナル内で行われているうえに、都内主要ホテルから浜松町へのピックアップサービスも行われているので、着地型商品が都内の公道上で乗降を行い周囲に迷惑をかけているようなシーンはほとんど見られない。

 だが、今後FITの数はさらに増加するうえに、民泊など宿泊先が多様化することで、ピックアップサービスが行われるような主要ホテル以外に宿泊するケースも増えると考えられる。

 併せて、多数の旅行会社がそれぞれ着地型商品を企画し、外国人にも分かりやすい主要ターミナル駅周辺を集合場所として指定した場合、交通渋滞や地元関係者とのあつれきを生む可能性もある。

 インバウンドが、「空港で貸し切りバスに乗り込み、そのまま免税店などの立ち寄り地点や宿泊施設に横付けする」団体ツアー中心であった頃、中央区にとっては銀座での駐停車が課題であっただろうが、これからは、周辺の区や23区以外の地域に宿泊するFITが、着地型商品に乗車する場所を提供する必要も生まれているのである。

(高速バスマーケティング研究所代表)

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