【山崎まゆみの「ちょっと よろしいですか」62】オンとオフの切り替えができる環境があるとうれしい 温泉エッセイスト 山崎まゆみ

  • 2021年4月19日

 このところ各企業がワーケーションに取り組むというニュースをよく目にします。 

 これまで20年以上、旅をしながら旅館で原稿を書いてきましたので、旅先で仕事をするのは、もはや私のライフスタイル。

 そんなワーケーションの先駆者(?)たる私にとって、仕事がはかどるにはいくつかの条件があります。 

 身体的な条件は三つ。

 ●開放的な気持ちになれる眺めがいい場所。自然光が射せば、なお良し。

 ●疲れすぎない温泉入浴ができる。日中(仕事の合間に)も入浴できたらうれしい。

 ●毎晩深く眠れること。目覚めがいいこと。

 仕事環境の条件も三つ。

 ●電源とWi―Fi完備。仕事をするのに適したテーブルと椅子(旅館にあるものはリラックスするためのサイズ)、適した明かりも欲しい(旅館の照明は暗いため)。

 ●プリンターなど、事務機器がある「仕事棟」とリラックスできる「寛ぎ棟」など、オンとオフが分けられる。

 ●「仕事棟」には、仕事の合間のブレイクタイム用に、コーヒーとちょっとした甘い物があるとベター。

 私は「ひとり温泉」が基本ですから、ひとりで気兼ねなく使える宿を選びます。その点、秋田県新玉川温泉はシングルルームが50室ありますので、気楽。ただもともと湯治向けの温泉地ですから、仕事重視より、体調管理を目的とした利用になりました。

 ちなみに温泉旅館で仕事をする最大のメリットはこもれることです。外からの誘惑や刺激がない分、集中できます。

 私は、考えを掘り下げるときには秘湯を選びます。宮城県蔵王の中腹に佇む一軒宿の秘湯・峩々温泉では、暖炉があるこじんまりとしたロビーに陣取り、とても仕事がはかどりました。

 目の前にそびえ立つ岩肌も、ストイックな気分にさせてくれます。オーナー夫婦の適度な距離感もいい。寂しい時のみ、コーヒーをいれながら話し相手になってくれました。

 大分県由布院温泉玉の湯にあるライブラリーが私はとても好きです。古い雑誌がずらりと並べられた重みのある空間は落ち着きます。降り注ぐ光が庭の緑を輝かせる様を見ると、企画がひらめきました。古い雑誌をパラパラめくればアイディアが浮かんできます。

 兵庫県城崎温泉西村屋本館の横にある「さんぽう本館」は、1階には食事処とお土産屋が入り、2階はテーブルと椅子があるフロアです。Wi―Fiと電源は問題なし。まさに、「仕事棟」(さんぽう本館2階)と「寛ぎ棟」(西村屋本館)が分かれており、初めて見たときにはこんな環境を求めていた!とつぶやいたほどです。

 本紙の対談シリーズでもご登場いただきました脳科学者の茂木健一郎さんは、「お風呂に入ると感覚遮断の状態になる。要するに、外からの刺激に注意を向けなくてもいい状態になると、脳のデフォルト・モード・ネットワークが活動し始めてメンテナンスをするんです。このときに、気になっていたこととか整理できます」と、お会いするたびに話して下さいます。

 リラックスできるから、仕事もはかどる。

 すなわち、温泉とワーケーションは最良の組み合わせなのです。

 今回はワーケーションの環境整備をする際のヒントになればと、ごく個人的な希望と体験をつづりました。次回は、注目のワーケーション事業をご紹介します。

(温泉エッセイスト)

 
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