【山崎まゆみの「ちょっと よろしいですか」24】第16回ボランティア・プラザ 温泉エッセイスト 山崎まゆみ

  • 2019年9月6日

 「角があるとぶつけた時に痛いのよ」とは、丸いテーブルを触りほほ笑む視覚障がいの方。「これは楽だ」とは、立ち上がる時にサポート機能がある椅子を体験していた高齢の方。

 8月9日に新宿京王プラザホテルで開催された第16回「ボランティア・プラザ」には総勢500人もの参加者が集い、時間帯に分かれて、昨年12月にリニューアルしたユニバーサルルームを見学しました。冒頭はその一幕です。プレス向けの見学会はよくありますが、身体が不自由な方も含む一般の方に向けた会はあまり聞きませんし、参加した私にとって新鮮でした。

 まずホテルのスタッフから説明があります。「企業としての取り組みを多くに人に知っていただきたく開催して今回で16回となります。ご案内しますのは、車いすを利用される方、聴覚視覚障がいの方に配慮しましたお部屋です。楽しみながらバリアフリーを体験してください」。

 その後、ユニバーサルデザインの「ジュニアスイートツイン」「ラグジュアリーデラックスツイン」「デラックスツイン」の3タイプを見ました。

 確かに、ユニバーサルデザインの部屋にはテーブルだけでなく、角ばったところがありません。高齢の方が喜んでいた椅子は、ホテルが独自に開発した立ち上がり補助機能付きの電動アームチェアです。

 客室内は枕元にあるコントロールパネルで、部屋の光の調整からカーテンの開け閉めも操作できます。筆談ボードがありました。客室にいながら、フロントスタッフと筆談で会話ができるようになっています。セキュリティーボックスや冷蔵庫、クローゼットの洋服をかけるラックの位置も、車いすを利用する方が使いやすい高さになっています。

 バスルームには移乗台やシャワーチェアー、ステップ台が設置されていました。補助犬のエサや水を置くマットも用意されています。

 これら設備は必要とされる方の滞在の時のみ設置されるものであり、いつもは収納棚にしまわれています。

 すなわち「Adaptable」(着脱可能な)「Adjustable」(調整可能な)設備であり、ホテルらしい高級感のあるデザインです。

 お部屋だけではありません。ユニバーサルルームがある30階の廊下は弱視の方にも分かりやすい濃淡のある色のじゅうたんが敷かれてあります。部屋番号は数字が立体的になっていて、触れば分かります。配慮が行き届いています。

 ちなみにユニバーサルルームは、設備が着脱式であるため、一般のお客さんにも問題なく利用できることから、稼働率が高いお部屋だそうです。

 ここに至るまでの京王プラザホテルさんの道のりを記します。1988年にリハビリテーション世界会議の会場になった際に車いすで利用できる客室を15室作りました。2002年にユニバーサルルームを作り、18年冬にそのユニバーサルルームをリニューアルしました。16回を数えるボランティア・プラザは、バリアフリー活動を支えるホテルのスタッフによる、社会貢献を目的とした労使主催のチャリティーイベントです。このように心のバリアフリーの意識啓発に取り組む姿勢が評価され、ホテル業界では初めて「平成30年度 東京都心のバリアフリー好事例企業」に選ばれました。

 そもそもは、ホテルの名にある「プラザ」が「人が集まる場」を意味することから、たくさんの人に来てほしいというのが動機だったそうです。

 肩ひじ張ったものではなく、シンプルな動機で、長く続けてこられたことに私は引かれますし、心から敬意を表したいと思います。

(温泉エッセイスト)

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