
プラットイーズのサテライトオフィス「えんがわオフィス」
古民家改修したオフィス
観光経済新聞、塗料報知、農村ニュース、ハウジング・トリビューンの4紙誌は、2022年共同キャンペーン「地域から元気を 地方創生が生み出す未来」を展開しています。今、各地で芽吹いている地域活性化の動きを、観光業、農業、住宅・建設業などの視点でレポートします。
消滅可能性都市全国ランキングで、ワースト20位に入ってしまった徳島県神山町。町の消滅に危機感を抱き、活性化を図るために、国の「まち・ひと・しごと創生法」の施行と併せ、「まちを将来世代につなぐプロジェクト」という創生戦略を2016年度にスタートした。昨年度からは第2期に入っている。
同プロジェクトは、施策領域として「すまいづくり」「ひとづくり」「しごとづくり」「循環の仕組みづくり」「安心な暮らしづくり」「関係づくり」という六つの施策領域を設定。若い層が安心して暮らせる住居や職の創出を目指している。
すまいづくりとして「大埜地の集合住宅プロジェクト」が挙げられる。町内には空き家が多く存在しているものの、老朽化した物件が多数で修理コストがかさむ。町の補助制度を利用しても追いつかず、民間の賃貸物件は少ないため、町が閉鎖された中学校の寄宿舎跡をリニューアル。入居対象を「高校生以下の子供と同居している世帯」「40歳未満の独身者」など、若い人たちに限定した住宅を造った。
しごとづくりでは、16社にのぼるサテライトオフィスが集まっていることが特徴だ。神山町では町内全域に光ファイバー網が整備されている。テレビの地上デジタル化に伴い、電波受信が不可能になるため、徳島県が県全域に敷設した。加えて、神山町は他の市町村に先駆けてフリーWi―Fiスポットを町内各地に整備。サテライトオフィスを誘致する上で大きなセールスポイントとなり、コロナ禍の影響でリモートワークが定着した現在では、注目度はさらに高まっている。
町のランドマークといえる建物として、放送・配信関連事業を手掛けるプラットイーズ(東京)のサテライトオフィス「えんがわオフィス」がある。
BCP(事業継続計画)の一環として2013年7月に開所。築約90年の古民家を改修し、耐震補強を施した全面ガラス張りのオフィスは周囲を「えんがわ」で囲み、内と外の境界をあいまいにすることで「オープン・アンド・シームレス」の思想を体現しているという。
メイン社屋の「母屋」のほか、4K(UHD)映像の制作を行う「蔵オフィス」、映像のデジタル化・変換・メディア保管を行う「アーカイブ棟」の3棟で業務を行っている。
町内には共同の仕事場「コワーキングスペース」も整備されている。グリーンバレーが2013年に開設した「神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス」がそれである。廃止され空いていた縫製工場をリニューアル。共同スペースと個室のワーキングスペースがあり、時間貸しから月契約まで多彩な使い方が設定されている。サテライトオフィスを構える前に、予行・試験的に利用するケースも多いとのことだ。
廃校、古民家、廃工場と地域にとってプラス要素にならない物件を、美しく機能的によみがえらせる。そして長年にわたって維持していくことは地方創生に欠かすことはできない。
塗装はこうした場面で力を発揮する。多彩な色で美しさを表現し、景観との調和を図る。また、遮熱・断熱機能等では住みやすさを演出し、防食・防錆・防蟻性能等では建物を守る。さらに、最近の衛生意識の高まりについては、抗ウイルス・抗菌塗料が対応できる。
プラットイーズのサテライトオフィス「えんがわオフィス」