【専門家に聞く 旅館ホテルのリフォーム】賢い補助金の獲得法 アルファコンサルティング代表取締 青木康弘

  • 2022年7月21日

青木氏

コツつかめば申請は簡単 業績アップ目指し、ぜひ挑戦を

 全国の旅館・ホテルで補助金を活用した大規模改修が積極的に行われている。「事業再構築補助金」や「地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化」など政府、自治体の補助金が充実していることに加えて、稼働が落ち着いている時にアフターコロナを見据えて思い切った改装を行いたいと考える経営者が多いことによるものだろう。

 一方で、問題となっているのが、さまざまな補助金を獲得している施設とそうでない施設との二極化現象である。補助金獲得の得意な「常連」施設は積極的な投資を繰り返して売り上げアップを図る一方、そうでない施設は老朽化が進み顧客が遠のく状況にある。

 補助金はいつも決まった大手の旅館・ホテルが獲得することが多い。しかしながら、これまで申請自体したことがない施設であっても、コツさえつかめば申請は難しいものではない。客室等のリニューアルを行い、業績アップを目指す施設はぜひ挑戦してほしい。今回は初めて補助金申請に取り組む施設向けに、効果的な獲得方法を紹介したい。

 (1)公募情報を常にチェックする

 公募情報は各省庁や自治体、商工会議所、商工会等のサイトで公表されるが、募集開始から締め切りまで1カ月と短いものが多い。気がついたら締め切りを過ぎていたということにならないように、関係機関のサイトを常にチェックしよう。

 (2)第1回募集からチャレンジする

 年度内に何回かに分けて募集のある補助金は、第1回からチャレンジしたい。過去の例からみると、初回が最も採択率が高い傾向にあるからだ。後の募集になると応募者が急増する一方、予算の残りが少なくなることが理由と考えられる。第1回から応募しておけば、不採択となっても何度か申請すれば採択される見込みが高くなる。

 (3)gBizIDプライムアカウントを取得する

 政府が管轄する補助金はgBizIDプライムアカウントの取得を必須としているものが多い。アカウント申請は無料だが、取得まで2週間以上かかるので、まだ取得していない方は早めに申請しておこう。申請は簡単だ。gBizIDの公式サイトで申請書を作成し、印刷して実印を押印、3カ月以内に取得した印鑑証明書を添付して事務局に郵送するだけだ。法人を複数保有されている方は、法人の数だけ申請しておくことをお勧めする。

 (4)補助金申請の準備を効率的に行う

 補助金申請の準備を行う前に、電子申請の入力画面に先に目を通しておこう。先に入力画面に目を通しておくことで、求められる成果物をイメージしながら資料準備することができる。また、添付を必要とする書類も先にチェックしておきたい。特に税理士や外部機関などに依頼する資料は早めに対応しないと期限に間に合わなくなるので注意しよう。

 (5)採点されることを意識して提案書の作成を行う

 補助金は全国から寄せられた不特定多数の提案書の中から優れたものを採択する。あらかじめ評価項目や配点を決めて、審査委員が採点することが多い。

 例えば、事業再構築補助金では、現在の事業、強み・弱み、機会・脅威、事業環境、事業再構築の必要性、具体的内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事など)、市場の状況、自社の優位性、価格設定、課題やリスクとその解決法、実施体制、スケジュール、資金調達計画、収支計画が審査項目の例として挙げられている。このことから、前述の審査項目を参考に評価の視点や得点配分が決定され、提案書の評価が行われていると想定される。複数の審査委員により採点を行い、得点の高い順に採択されることになる。

 事業計画書は募集要項をみて上限ページ数を確認し、上限いっぱいまで使って作成しよう。使用するページ数が少ないと、他社が提出した提案書と比べて見劣りして採択されにくい。また、図表やグラフ、写真を多用することをお勧めする。施設外観や客室、大浴場、料理の写真を掲載すれば、審査委員が当社の事業についてイメージをもってもらいやすくなる。売り上げや利益の推移、市場環境の変化などはグラフで示すと分かりやすい。

 (6)事業計画書をすぐ完成できるよう準備しておく

 補助金申請は公募から締め切りまで大変短いことが多い。一般的に公募から締め切りまでの期間は1カ月余りだ。この短い期間で、合格レベルの事業計画書をゼロから作り上げるのは大変困難なことである。自社の概要や経営方針、自社が提供する商品サービスの強み、自社のSWOT分析(強み、弱み、機会、脅威)、市場動向、自社の業績推移である。日頃からエクセルで項目ごとに説明文や図表の作成、市場データの収集、写真の整理などをしておくと良い。

 気軽に相談できる設計事務所や建設会社とつながりを作っておくことも大切だ。補助金は設備投資を対象とするものが多いが、公募が始まってから取引先を探していては締め切りまでに準備が間に合わない。無料または低廉な費用で間取り図やイメージパースを作ってくれる設計事務所と関係を築いておこう。

 (7)計画書に独自性を出して差別化する

 旅館・ホテル業の補助金申請は、似たり寄ったりのものになりがちだ。インターネットで手に入るような一般的な情報をまとめただけの計画書では、審査委員の評価を得ることはできない。他社にはない独自色を盛り込んで差別化を図りたい。例えば、地元出身のアーティストや地元の建築・美術学校、音楽家、インフルエンサーなどを起用して他の施設との差別化を図ると良い。

 (8)補助金申請資料を他の補助金に再活用する

 補助金を申請するために収集した資料や作成した計画、元データなどは他の補助金申請にも活用することができる。特に、補助金申請がgBizIDプライムアカウントに統合されるようになってからは、持続化補助金、ものづくり補助金も事業再構築補助金と非常に似通ったものになってきている。せっかく作成したものを利用しないのはもったいない。さまざまな補助金申請に再活用しよう。

 

あおき・やすひろ ホテル旅館に関する経営コンサルティング実績470件以上。専門領域はホテル旅館経営全般。新規開業から業績改善、再生など幅広い。補助金申請では2021年は採択率100%を実現。

 
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