【寄稿】災害時の旅館・ホテルの活用 全旅連常任顧問 佐藤信幸


全旅連常任顧問 佐藤信幸氏

必用とされる施設に

 東日本大震災が発生したその日、私は全旅連の会長として東京にいた。山形新幹線が不通になり3日後、新潟県の野澤理事長のご厚意で新潟を経由し山形に帰ることができた。

 この大震災で30万人の被災者が出ていることを野澤さんに話し、旅館・ホテルで被災者の受け入れができないかを相談したところ、2004年新潟県中越地震で旅館が高齢者や障がい者の二次避難所として使用されたことを聞いた。私は人命尊重のため、ためらわずに受け入れを決断し、東北6県と新潟、群馬県の各理事長に連絡を取り被災者の受け入れがスタートした。

 当初、厚労省の担当者は生存者の確認等が急務で被災者の受け入れは難しいとのことだったが、観光庁の課長から真夜中携帯にメッセージが入っていた。被災者を受け入れすることになったので、各県の受け入れ可能な具体的人数を知らせてほしいとのことだった。

 その間紆余曲折があったが、大震災発生から10日前後には被災者受け入れの事務手続きが始まり、最終的には47都道府県で約540万人泊を受け入れたことが自信となり、その後の迅速でかつ安全・安心な受け入れ体制の構築を強化してきた。

 現在、コロナ禍では「密集・密接・密閉」を保つことが大切で、3密を回避するためには公共の施設だけでの対応は難しく、多くの客室をもつ旅館・ホテルの避難所協定に取り組んでいる。

 協定内容は市町村によって違うが、全旅連では大規模災害になると県をまたいだ連携が必要になることを想定し、国や自治体との避難所(災害協定)契約を推進してきた。国、県、市町村、組合、旅館・ホテルの役割を明確にして、平時はもちろんだが災害時にも必要とされる旅館・ホテルを目指さなければならない。

(日本の宿古窯)

 
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