自助努力と公的支援活用
旅館・ホテルの経営コンサルタント、リョケン(本社=静岡県熱海市)の木村臣男会長に、「新型コロナ感染症緊急事態宣言解除後の旅館の対応策」について寄稿をいただいた。
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1.基本的な考え方(公衆衛生の考え=検査・隔離を理解し、コロナとの共存を覚悟していく)
宣言は解除されているが、新型コロナウイルスによる緊急事態はまだ完全に終息していない。終息の条件は(1)治療薬の開発・普及(2)ワクチンの開発・普及(3)集団免疫の形成等。
終息までに1年以上はかかる。それまでに第1波以上の第2波発生の可能性がある。
当面の間は、自社の従業員への感染防止、自社の施設でのお客さま、関係者への感染防止をすることだ。
可能な限り雇用を守り、会社の経営を維持し、地域と共に歩んでいかねばならない。
2.感染防止対策
まず、宿泊施設における新型コロナウイルス対応ガイドライン(5月14日版)を実践すること。
全従業員、協力する会社、スタッフに周知して実行し、実行状況をチェックする。
当面の間は当社の「安心への気配り」の姿勢をお知らせすることも重要だ。
衛生管理維持のためには、行政の助成も受ける。
状況により営業の休止、縮小をし、予約のセーブも必要だ。
3.運営、営業、経営面での対策(自助努力と公的支援制度を活用する)
新型コロナウイルス事態以降の経営環境、お客さまの動向に対応して運営方針、サービスの仕組み、販売方針をアレンジする(時代の変化を受け入れ、チャレンジする)。
この事態以前の客数、単価、売り上げ、収益に戻すことは困難と考えて、労働生産性の向上、経費削減を行い、損益構造を改善する(経営管理の仕組みを改善する)。
国、地方自治体からの支援策、制度、節税(減免、延納等)対策を活用する。
政府系金融機関、保証協会、民間金融機関の金融面の支援策も最適に活用する。
第2波、第3波のリスクに対応するためのBCP(事業継続計画)を作成し、準備する。金融機関にも説明し、協力を依頼することも必要だ(備えよ常にの姿勢)。
上記に基づいて売上計画、損益計画(見込みGOP)、借入金返済計画、BS計画、ER(改修)計画を作成し、金融機関の理解と協力を得ることだ(収入は控めに支出は適正に)。
必要により、会社諸規定、就業規則などの見直しも行う(見通しと対策が重要)。
会社トップのリーダーシップのもと、役員、従業員、協力会社一体となって取り組むことだ。
また、経営危機に備えて会社の将来像の構築、長期経営計画、財務計画等の作成も準備を進めるべきだ(状況により再生計画も視野に入れる)。「朝の来ない夜はない」