【寄稿】コロナ禍、そして収束後の募集型企画旅行 JTBトラベル&ホテルカレッジ講師・東洋大学国際観光学部非常勤講師 竹内敏彦


竹内講師

キーワードは少人数での貸し切り商品

 「ヒルトン・クリーンステイ」や「星野リゾートの衛生管理・3密回避」など、新型コロナウイルス感染予防策として、宿泊施設の取り組みが相次いで発表されている。その内容は、新たなる衛生・消毒基準、コンタクトレスチェックイン&チェックアウト、ビュッフェではなくセットメニューの提供などである。まずは公共交通機関を利用せずに現地に行ける宿泊施設周辺に居住する日本人をターゲットとしたマイクロツーリズムで観光は復活する。グルメイベントと考えられている、「ご当地グルメでまちおこしの祭典!B―1グランプリ」も年に1回訪れる観光客ではなく、何度もその地に足を運んでくれる近隣の住人をターゲットにして昨年明石で第11回を終了した。

 旅行会社の価値は、さまざまな関係機関を組み合わせるコラボレーション機能と、その旅行を自宅から自宅まで1社で提供できるワンストップサービスを、旅行商品として提供できるところにある。現況下で「コロナ後にしたいこと」のアンケートでは国内旅行が第1位となる。それはステイホームを強いられている中、当然の心境であろう。旅行商品の復活が待ち望まれている。しかしながら例えば最小催行人員が30名の募集型企画旅行に参加したいと考えるであろうか。参加者全員の健康チェックができていたとしても、ソーシャルディスタンスがニューノーマルとなった現況では当面即さないのではないかと思われる。そこで考えられるのが、知らない人同士が例えば6名が集まって実施される募集型企画旅行ではなく、知っている人6名で催行する貸し切りツアーである。希望であれば添乗員も同行する。旅行代金は、6名、10名、15名などの人員の幅によって提示する。現状、孫にも会えない3世代の国内ツアーなどが想定される。交通手段は貸し切り自動車を利用する。ジャンボハイヤーから大型バスまで少人数からの貸し切りが可能である。感染予防策が施された貸し切り自動車と宿泊の組み合わせはすぐにでも実施可能である。

 そして次の課題は、交通手段としての航空と鉄道の利用商品であろう。飛行機も新幹線も換気はいいという情報は周知なのかもしれないが、いくら6名で申し込んでも、100名の座席に100名着席している状態は好まれない。商品として、ソーシャルディスタンススペースを購入し商品に組み込むことも考えられるが、高額になることは否めない。航空や鉄道を組み合わせた商品は、各航空・鉄道会社の空港や駅をも含めた感染予防対策が世の中に一般化されたあと旅行商品となる。そして、旅行会社は安全対策を行っている関係機関をコラボレーションするのである。

 コロナ後の旅行はFITがまず牽引(けんいん)するといわれている。しかしながらそうではないと考える。個人では困難な組み合わせを提供できるのが旅行会社である。企画旅行は旅行会社の精神である。今こそ、パッケージツアーの実施を模索しよう。旅行会社とその商品の真価が問われているのである。

竹内講師

 

 
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