【失敗の法則から学ぶ~宿経営者の仕事大全20】提供商品のコンテンツが経年劣化していないか 孫田 猛


 売り上げ減少、集客力低下傾向が表れた宿の経営者は、打開策として販売促進や集客対策に手を付けます。つまり、マーケティング対策でこの場を乗り切ろうとします。

 これは宿経営に限ったことではありません。小売業やサービス業をはじめとした中小零細企業全般に言える傾向です。

 これは何を意味するか? わが宿の存在が、見込み客に十分届いていないという仮説に基づくアクションです。

 ではその結果はどうでしょうか。緊急対応によって幾分回復しても、本来目指している財務状況にまでは程遠い。

 この場合、提供商品のコンテンツ(中身)が、お客さまにとって魅力的でなくなってしまっているということがほとんどです。だからいくら集客対策をとっても、一時的な効果しかないのです。

 では宿のコンテンツをどのように捉えたらいいのか? 一昔前、宿の商品は施設、料理、サービスの三大商品に分類されるのだから、これらをそれぞれバージョンアップしようという取り組みが行われていました。

 当時はその方法でマッチしていたのでしょう。コンサル会社が三大商品のテーマでセミナーを開催すれば、それなりの集客があり、実際効果もありました。だからブームに乗ったかのような流れの展開をするお宿が増えていました。そのような目新しさが、魅力的な宿の商品としての形を作り、当時のエージェントとしても売りやすかったのでしょう。

 しかしこの展開も、やがて顧客の価値観が大きく変わってしまい、同一パターンでの展開が効果を得ることができなくなりました。

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