【地方再生・創生論 303】地方議会の選挙に多くの立候補者を 松浪健四郎


 今春は地方統一選挙。全国の卒業生から出馬の連絡が入る。教育関係の仕事に就いている卒業生が多いからか、地方政治に目が向かうようだ。が、全国的には地方議会の選挙に出馬する選挙民不足、地方の民主主義に黄ランプが灯る。地方議会に魅力がないのだろうか。中央政界に打って出る出発点としての舞台でもあったが、現在は段階を踏む政治家は少なくなった。地方自治体の議会に元気がないと、どうしてもその地方は沈下してしまう。

 政府の地方制度調査会の答申を読んだ。地方議会改革に関するもので、岸田首相に提出されたものだ。まず、議員のなり手不足解消のため、夜間や休日の議会開催などを求めている。これは若者や女性、勤労者といった人たちにも議会に参画してもらうアイデアである。私は、このアイデアだけでは地方議会に関心を寄せてくれる人が増加するとは思えない。議員は住民の代表である。代表となろうと考えるリーダーシップ持つ人たちのプライドが満たされないと、なり手不足解消は困難だ。ましてや優秀な人材を求めるとすれば、原点から考え直すべきであろう。

 地方議会にあっては、財政難、選挙民に迎合するため、議員報酬や調査費をカットしてきた。定員数も減少させ、活力を低下させてきた。この悪循環が結果として現況の地方議会を生んだと思われる。財政難から発した議会改革、それは安易な逃亡策でしかなかった。民主主義をいかに守り通すべきか、もっと根本的に考えるべきであったし、政府もある程度の支援について協力すべきだったと思われる。干渉しないことが美徳としてきたが、地方の民主主義が青息吐息の現況に陥ったのだ。

 総務省の調査によれば、前回の地方統一選挙(2019年)では、都道府県議の約27%、町村議員の約23%が無投票当選だったという。しかも女性の当選は10%台だというから、地方議会は男性の園という印象を受ける。せっかくの選挙が、約4人に1人が無投票で当選しているのは寂しい。議会に出席しづらいために立候補しないのか、報酬が安すぎるためか、環境整備が急務である。

 地方制度調査会の答申は、通年会期制の導入やハラスメント相談窓口の設置、育児・介護の明確化の検討等も明記されている。若者や女性、会社員の立候補者数を増加させるため、企業側の理解を得るためのアイデアも答申されている。

 議会の役割を考えたとき、各委員会の活性化を考慮した際、首長の政策に磨きをかける上でも議会に元気が必要である。議員年金もなくなり、職業としても地方議員の魅力は低下したようだ。議員としての特権は不要だが、待遇面に問題はないのか、再検討が必要である。選挙民の反発を恐れて、議員の待遇面の改善ができない限り、優良な議員を求めることができない。すぐにメディアも「お手盛り」と批判して、議員を肩身の狭い職業に追いやったことも忘れてはならない。

 あちこちの大学に法学部、政治学科が多数ありながら、議員のなり手不足という現象は、地方議員が職業として認知されていない証拠である。投票権が18歳にまで引き下げられたのだから、立候補できる年齢についても調査会は提言すべきではなかったか。根本的な改革案になっていなかったと私は感じた。

 今春の地方統一選挙は、衆議選の前哨戦となり得る選挙だと私は思う。岸田総理の支持率は30%台と低迷しているが、野党人気も低いため、防衛費捻出のための増税をするためには解散、総選挙に打って出る可能性がある。特に10増10減少の衆院の小選挙区が決定したゆえ、山口や和歌山のような難しい選挙区の問題を早く解消する上でも総選挙は今夏には実施されると読む。

 その前に地方議会は改革を進め、より民主主義の精度を高めるためにも多くの立候補者を出すようにすべきである。地方議会に活力がないと、地方再生・創生に弾みがつかない。地方議会を重視し大切にしなければならない。

 
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