【地方再生・創生論 280】ポテンシャルが大きい「椿の楽園」 松浪健四郎

  • 2022年10月13日

松浪氏

 東京都レスリング協会の会長を拝命している。国民体育大会の都予選を終え、強化合宿を行う。今年は伊豆大島で都立大島高校の体育館を借りて、高校生にも参加して行った。会長の私も伊豆大島を訪れたことがないので同行した。東京・竹芝客船ターミナルから高速ジェット船で、楽しい船旅120キロ、1時間半。

 ターミナルの売店で「東京七島新聞」という毎月8の日に発行される新聞を買った。大島の情報を少しでも入手しておかないと、理解することができない。

 例えば、広告欄を見ると伊豆七島建設業協同組合があって、大島には22の土木や建設の会社があることを知ることができた。町議会の様子も記事にある。町長報告を読むと、観光に力を入れている状況や安全対策に熱心に取り組んでいることが分かる。離島の住民たちの暮らしや問題点を、あらかじめ知っておけば、挨拶する際も恥をかかなくてすむ。

 伊豆大島は、名だたる「ジオ(地球)パーク」である。富士箱根伊豆国立公園でもあるため、それほど開発されておらず、美しい自然をもつ。火山の三原山もあって温泉もある。観光資源の豊富さに驚く。それでもコロナ禍のためか、旅行者が多くない。富士山に向かって打つ9ホールのゴルフコースもあるゆえ、立派なリゾートの島に思える。火山と椿(つばき)の島だけにあらず、海と山を満喫できる島でもある。

 大島高校の体育館には冷房があって快適、金メダル4個の伊調コーチの指導にも熱が入る。この体育館は災害の避難所になっていて、都は津波や火山の対策をきちんと講じていた。大島には、二つの高校がある。これらの学校施設も休み中に開放すれば、いろんな団体が活用すると思われる。問題は宿泊施設が十分でない点であろうか。私たちは、「赤門」という旅館に滞在した。ちょっと古いが、趣があって良かった。

 平安時代の末期の武将である源為義の八男である源為朝が、父親らと共に平清盛や源義朝らと戦った(保元の乱)が敗れ、この大島に流された。弓の名人だった為朝の住居跡に「赤門」が建つ。そして町の史跡として赤く塗られた赤門が現存する。庭内には為朝神社と物見台がある。流された為朝が、島で何を考えたのだろうかと想像を楽しむ。

 歌で有名な波浮(はぶ)港へ行く。江戸時代から栄えた港の様子が資料館として遺されている。噴火でできた港だ。波浮港の山に登ると、川端康成の「伊豆の踊子」のモデルとなった踊子の里がある。旧港屋旅館で資料館となっていた。波浮港の店で、椿油で揚げたコロッケを買う。それを食べつつ、資料館の庭で休む。風情があっていい所だ。

 動物園もあれば貝の博物館もある。ビーチもいいし、長根浜公園にある海を見下ろす露天風呂もいい。1986年の三原山の噴火後、湧き出した湯を利用しているという。よく見ると伊豆半島が望まれるし、夕日の景色もいい。また、椿の楽園と呼ばれる通り、島に300万本ものヤブツバキが生えている。あちらこちらに椿、椿、火山灰を含む水はけのよい土壌が合っているらしい。自生した椿を大切に育ててきた結果、「椿の楽園」を作ることとなった。で、大島には国際機関から認定された椿園が3カ所もある。いずれも立派で見る価値がある。200種以上植えられ、管理・運営がきちんとしていないと認定されないらしい。

 伊豆大島の観光地としてのポテンシャルは大きい。ただ、国立公園ということで開発が難しい上に、大資本が入りづらい面がある。しかし、工夫次第では国内随一のパラダイスになる可能性をはらんでいる。加えて、企画力も求められる感じがした。

 アクセスのための交通費が高すぎる、宿泊施設が不足している。政治の力が働けば、大島はさらに元気になると思われる。大開発は不必要だが、観光客をもっと迎え入れるという姿勢があれば、とも感じた。

 都会的センスよりも、昔ながらの印象を保持しつつ、リゾートの島にできないだろうか。大島は、これからの島に思えた。

 
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