【地方再生・創生論 270】自治体も「幸福度」を調査すべき 松浪健四郎

  • 2022年7月28日

松浪氏

 各自治体も各大学も「満足度調査」を行っている。施策の方向性を知る資料になる上に、各個人の希望も同時に知ることができる。ただ、「満足度」なるものは、各個人によって差が大きく異なるため設問によって数値に開きが生じる。だが、かかる調査は大切で、こまめに毎年行う必要がある。

 国連の関係機関では、「各国の幸福度調査」を行っている。国家体制から文化、風土等全て異なる国々を同じ設問で「幸福度」を調査するのは感心しないが、一応の目安にはなろうか。GDP(国内総生産)から国民所得も異なるばかりか、社会のありようから家庭のあり方も異なる。何よりも「幸福」の概念も異なる。だが、この国連機関は、毎年、「幸福度」調査を行い、その国々の変化を調べているのだ。

 調査のランキング1位はフィンランドであった。2位はデンマークで、日本は54位にとどまった。それでも日本の順位は、昨年の56位から上昇した。146カ国と地域の調査であるが、先進国ニッポンとしては低い感じがする。日本人は遠慮する国民のために自己評価が低い傾向にあり、順位を下げていると思われる。80年近く戦争を知らず、これだけ社会福祉政策も進み、誰もが教育を受けることができる国でありながら、なぜか順位が低いのだ。

 「幸福」度をはかるのは難しい。われわれ国民一人一人も「幸福」の意識が違う。全国民の調査でないので、順位をあまり気にする必要はないだろうが、「満足度」調査と同様で、組織・団体が常に構成員の意識を知ることは大切である。順位の低い日本だが、国民は「不幸」だと思っているわけではない。危険な状況、信頼できない政治、食糧難に苦しむ、医療機関が不充実、等々、こんな国がある現実も見逃せないが、世界には多種多様な国がある実態も教えられる。

 かつて私はアフガニスタンの秘境ともいわれるヌーリスタン地方を踏破した。文明社会から遠く離れた辺境で暮らす民族だったが、人々には笑顔が見られた。物質社会の弊害を知らない人々。近代文化に染められない人々が「不幸」かといえば、決してそうではない。「幸福」や「満足」なるものは、数量化できないゆえ、そもそも比較など困難である。だが、「長寿問題」を考えると、近代化した社会の国民の方が「幸福」であるかもしれない。

 フィンランド、デンマーク、ノルウェー等の国々の社会福祉政策は、私たちの価値観や家族制度とは異なる、「幸福度」の高い国々ではあるが、消費税は30%前後と高率である。高福祉・高負担を受容する国民たちの方が、「幸福」だと感じているのだが、私たち日本人は北ヨーロッパ諸国の人々と同じ考え方を持つことができるだろうか。日本も、ある意味では社会主義政策を取り入れ、国民生活も変化した。それでも北欧諸国には及ばない。

 教育(大学教育をも含む)も医療も無料、この安心感が「幸福」をもたらせているのだろうか。近年、スウェーデンやフィンランドの大学に留学する若者が増加中である。授業料が無料である上に講義は英語で行う大学が人気高い。英米よりも生活費が安いに加え英語力をつけることができるからだという。消費税の数値が政策を変更させ、「幸福」を先進国では左右する。

 各自治体も「満足度」や「幸福度」を調査すべきである。設問は自治体によって異なるのは当然だが、毎年続けて比較することが重要であろう。住民の意識調査と同様であるがゆえ、施策の方向性を知ることができようか。税率を変えることができなくとも、年ごとに予算の組み替えができる。住民の期待に応える政治を遂行するには、細やかな調査が求められる。問題は調査方法と設問の作り方だ。

 少子高齢化によって、各自治体の政策も変化せざるを得なくなってきた。どのようにして住民の希望を取り入れるか、議会と行政の手腕が問われている。各家庭の問題が多様化しているが、各自治体はその救済策を考えねばならない。

 
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