【地方再生・創生論 269】海外青年協力隊の帰国隊員を活用せよ 松浪健四郎

  • 2022年7月23日

松浪氏

 国際化社会となり、全国に280万人の外国人が暮らす国となった。特別技能実習生もコロナ禍以前には40万人を超え、どこへ行っても外国人が住んでいた。少子化と高齢化という国内の社会的な病気が定着し、まだまだ外国人の労働力に期待せねばならない。どの自治体も外国語を理解する専門家を雇用しているが、言葉だけでは不十分だ。習慣等を含む文化を知る人材も必要である。

 かつて私は青年海外協力隊の選考委員を8年間も務めた。面接では、発展途上国で活躍しようとする青年の意気込みに圧倒された。2年間、途上国で頑張った隊員たちは、年齢的にも中途半端であるがためか、帰国後の仕事、就職には恵まれていなかった。世の中は国際化しておらず、この人材を活用できずにいた。ところが、近年、状況が変化してきた。国際協力機構(JICA)が熱心に帰国隊員の売り込みをした努力が実ったに加え、国際化の波が地方にまで及ぶ時代を迎えたのだ。

 例えば、教員免許を保持する帰国隊員を評価し、採用時に配慮する地方自治体が増えてきた。主に1次の学科試験を免除をしたり、面接や小論文だけで採用する自治体は、元隊員の体験を児童や生徒たちの教育に活用すべきだと考えている。先生が国際人、子どもたちにとっては大きな刺激となろうか。国際人を養成しなければならない時代、先生がまず国際人であらねばならないのは当然である。

 東京都、京都府、大阪府、愛知県、福岡県、兵庫県、神奈川県等のほかに18県、計25都府県が帰国隊員の教員採用に熱心だが、他の道県は、なぜ国際人たる隊員、貴重な体験をしてきた隊員を積極的に採用しようとしないのか理解に苦しむ。ただ、大阪市、横浜市、京都市、神戸市、福岡市等の12政令指定都市も採用に配慮している。ともかく、教員採用をする全ての自治体は、元隊員を活用してほしい。国際化時代に、なぜ国際人たる帰国隊員を採用しようとしないのか、もったいない話だ。

 また、全国79の自治体は、職員採用試験において、特別選考制度を設けている。これは2019年度の実績だが、より多くの自治体に帰国隊員を採用していただき、グローバル社会に対応すべきだと考える。途上国で苦労した体験は、新鮮な創造力や感性を生み、住民に還元できるに違いない。青年海外協力隊員も国民の税によって派遣されているのだ。貴重な人材、役人としても活躍してくれるだろう。

 私の経験からいえば、現在では先進国へ留学するよりも、途上国の方が学ぶことが多い。そして、より考える人間を作る。先進国は、すでに日本と同様同態、学ぶことよりも交流を盛んにするにとどまる。知恵を出す、工夫する能力は、途上国で暮らすことによってより高まる。協力隊員は、途上国で仕事をするだけではなく、より多くを学ぶ留学と同じである。すでに56年の歴史があり、顔の見える援助として、日本外交の一助となっている。

 アジアのノーベル賞とも表現される「ラモン・マグサイサイ賞」を受賞した協力隊、すでに派遣者数が5万人を突破した。が、この協力隊に参加した人たちの活用を、十分にしてこなかったのは、個性的な人物が多かったからかもしれない。発展途上国の経済、社会の発展、復興への寄与のために多大な貢献をした人材を生かすべし。異文化社会における相互理解の深化と共生のために頑張った若者たちに舞台を与えるべし。ボランティア精神に満ちあふれ、現地人と共に仕事をした人材を起用して、日本の地域発展のために役立ててほしい。自治体の教員、職員の採用に期待したい。国際人が1人でもいれば、雰囲気が変わる。

 日体大では、毎年、50人程度の学生が途上国に派遣され、体育やスポーツを指導してきた。国際人の育成であると同時に国際機関や外交機関に職を求めるツールとなっている。また、帰国後、大学院の受験枠や特別措置などの制度を設けている大学院が多数あり、研究者への道にかじをとる帰国隊員も多い。日体大にも多くの元隊員教授が活躍してくれている。

 
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