【地方再生・創生論 248】危険な「第4種踏切」 松浪健四郎

  • 2022年2月18日

松浪氏

 小学生の時、私の町に駅ができた。南海電車の各駅停車の駅員1人の小さな駅だった。が、便利になった。「井原の里」という名の駅で、大阪市内へ行くのが早くなった。駅までの距離が短くなり至極便利。駅のすぐ近くの道路は舗装されていなかったが、交通量は駅ができたために増えた。踏切は遮断機も警報機もなかったけれど、周囲は田畑ばかりで見通しがよかった。なのに、事故が多発した。

 南海電鉄の車両の色はグリーン、景色の田畑の色に溶け込んでしまうのか、弱視の老人の死亡事故が次々と起こった。子どもながら私は事故について知ったのは、近所のよくしてくれたお年寄りが踏切で犠牲者になられたからだ。この種の踏切は、「第4種踏切」と呼ばれ、現在でも2600カ所が全国にある(読売新聞)。危険極まりない踏切、この踏切は減少してきたとはいえ、総務省行政評価局は国土交通省にさらに減少させるように勧告を出す。地方に多い踏切だが、各自治体の取り組みが求められる。

 「踏切道改良促進法」なる法律があるが、この法律では林道や農道にあるような「第4種踏切」は補助を受けることができない。どんな踏切であれ、警報機だけは必要だ。政府と各鉄道会社は、「第4種踏切」は鉄道の安全基準を満たしていないので、「第1種踏切」(遮断機と警報機つき)への格上げを考慮しつつ、廃止も考えている。廃止の理由は、鉄道会社の負担が大きいからだという。特に地方の鉄道会社の経営は厳しい状況にある。

 危険な踏切を解消すべく法の改正が必要で、鉄道会社の負担を軽くし、安全な踏切に転じさせねばならない。踏切には、「止まれ」の看板があろうとも、警報機くらいは欲しい。耳から注意を喚起させるのは大切だ。だが、難聴の老人も多い。点滅する信号機もあればいい。視覚からの注意もなければ安全ではない。踏切の廃止は、その地方の人々を不自由にする。踏切一つで不便になれば、生活がしづらくなろう。

 総務省行政評価局の調査によれば、60年前には「第4種踏切」は6万カ所もあったが、わが国の経済成長に伴って減少してきた。JRの踏切は改善されてきたが、地方の民間鉄道の踏切の改善は進まない。警報機や遮断機の設置には、おおよそ7千万から8千万円が必要とされ、負担が大きい。事故が起こってからの設置ではなく、自治体がよく調査・研究して安全な踏切にしてほしい。

 安全対策には金がかかる。しかし、踏切の手前に黄色のペンキを塗ったり、「止まれ」の大きな標識を設置しただけでも注意を喚起させることができる。踏切を渡るのは自己責任だろうが、見通しの悪いカーブだったり、スピードの出る速い直線に位置する踏切は危険だ。

 踏切事故は悲惨である。人身事故も多いが、自動車との事故も多い。鉄道の事故は、多数の乗客に迷惑をかける。公共交通の王様ではあるが、急には止まれないため、運転士の発見が早くとも事故になる。危険な踏切が少なくなれば、運転士も助かる。時間の制限があって、次への駅に到着させる時間が決まっている電車、運転士の仕事もストレスがたまる。

 2019年度の踏切事故は、211件もあった。そのうちの29件が「第4種踏切」で、死亡事故にもつながっている。2007年や2010年は50件もあったことを考えれば、「第4種踏切」での事故は減少気味だが、行政評価局からすれば発展途上国並みの踏切が多数あって、安全でない現状を心配している印象を受ける。

 コロナ禍以来、政治家は「安全」とか「安心」の語をよく使う。だが、そうでない踏切が多くあることをよく理解していない。自動車の運転手たちは、ほとんどクラクションを鳴らさなくなった。先進国並みの運転であるが、電車の運転士はカーブや踏切を前にしては警報を鳴らさねばならない。地方の私鉄が赤字続き、踏切整備には国も県も自治体も協力すべし。(参考資料、読売新聞2021年11月21日号)

 
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