【地方再生・創生論 236】わが町の料理、食材を見直そう 松浪健四郎

  • 2021年11月4日

松浪氏

 1970年、米国留学時、帰国旅費のためにアルバイトをせねばならなかった。ニューヨークで時給のよかったのが、「松屋」という弁当屋さんだった。早朝の出勤、うなぎ弁当や牛丼をはじめさまざまな弁当を作り、日本の商社や各企業に昼食前に出前よろしく配達する。私は体力があったので、200個の弁当を地下鉄に乗って配達した。

 オフィス街では、道路に駐車して各国の郷土料理を売る車が列をなし、路上ではサンドイッチやハンバーグ等を売る人たちがいた。レストランだけでは昼食時には勤労者に間に合わず、駐車違反の検挙をすれば、オフィス街が困り果てる。警察も心得たもので、勤労者へのサービスに協力していた。

 この傾向は、世界中のオフィス街だけではなく、東京や大阪等の大都市では常態化している。昼食時の食堂の混雑を考慮したなら、新商売が誕生するのは世の中の常であろう。コンビニ弁当も売れる。NHKテレビの「サラメシ」を毎週楽しみにする私だが、売る側からの視点が欠落しているのが残念だ。

 タイを旅行して屋台でメシを食う。風情があっていい。博多も屋台が名物、食べ歩きが楽しい。完璧な高級レストランでの食事もいいが、私はB級グルメ党である。広島のお好み村を一度でも訪れれば、間違いなくファンになる。あれは「文化」だと感じ入る。大阪も粉を用いるタコ焼やお好み焼を名物とするが、広島に後れを取っているといえる。

 どこの地域にも有名なラーメン屋やうどん屋がある。なるほど、うまい。昔から「名物にうまい物なし」といわれるが、情報を簡単に入手できる現在、看板に偽りはない。私などは、北海道へ行けば、まず、ラーメン屋に飛び込む。なぜか、北海道ラーメンはうまい。香川県に行けば、昼も夜も讃岐うどんを食べに行く。さまざまなトッピングを入れて食するが、うまい。

 讃岐平野は、瀬戸内気候のため水不足が悩みのタネだったため、2万近いため池が造られたが、その地で育つ小麦で作る讃岐うどんは独特のうまさを誇る。故大平正芳元首相は、讃岐から毎日食べるうどんを取り寄せた話は有名である。現在は吉野川からの香川用水によって水不足は解消されたが、水不足がおいしいうどんを産んだといえる。同じ小麦粉で作る素麺も、各地で生産されているが、良質の小麦を植える適した畑が必要となる。加えて、これらは昔は保存食であったため、その地の環境と風土に深い関係がある。意外と知られていないが、五島列島のうどん、長崎島原の素麺、これは年中食べても美味である。

 平和な時代、飽食の時代、テレビ番組も「食」についてのものが多くなっている。番組製作に費用がかからない一面もあるが、食欲は誰しも持つゆえ人気が高いらしい。これらの番組に食材を売り込む自治体もあってよいと思われるが、あまり耳にしない。特徴ある農産物、魚介類等、生産地からのアピールが不十分ではないか。それは果物にもいえる。サクランボは山形と決め込んでいるが、山梨にもおいしいサクランボがある。

 私の住む近くに川崎北部市場がある。毎週土曜日が一般客も入れるので、家内と行く。同じ品物でも生産地によって価格が異なる。段ボール箱に入ったまま売られているが、農協名で出荷しているため、私たちには自治体名が分からない。生産地の自治体名を入れてもらえるよう運動すべきである。今では、どこそこの何々がうまいといわれる時代だ。

 和牛や鶏肉だけではなく、農産品までもがブランド化されている。そのブランドに自治体が乗っかるべきだと考える。宇都宮や浜松のギョウザ、ウナギを名物とする自治体も多数ある。自慢の料理や食材を自治体が前面に出てアピールすべきである。ふるさと納税の返礼品に数々の食材が見受けられるが、意外と近辺の食材が他地域の人からすれば珍品である可能性もある。どの自治体も、わが町の料理や食材をブランド化すべく見直してほしい。そして、わがごとのようにあちこちで宣伝すべきである。

 
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