【地方再生・創生論 216】誕生30年、「道の駅」を考える 日体大理事長 松浪健四郎

  • 2021年6月10日

松浪氏

 私が代議士をしていた頃、地元の自治体をはじめ、多くの地域から陳情を受けた。陳情にも流行があり、その頃は「道の駅」の設置であった。各地にポツリ、ポツリと「道の駅」ができ、その報道に接した自治体は、自分たちの地域にも「道の駅」を作りたくなる。

 一般道の整備が進むと同時に車社会が完成、国土交通省は地域社会の活性化のために「道の駅」設置計画を練る。まず、1991年に山口県で実験が始まった。反響が大きく、平成の大合併政策と連動して、各自治体は特色を売り出すための一手法として「道の駅」を考える。

 地方再生・創生の機運も高まり、特産品をアピール、販売する場も必要となる。しかも「ふるさと納税」という地方自治体にとって有難い政策が追い風となり、どうしても自治体の存在を売り込む機会、場面も求められる。そのためには、「道の駅」こそが一石二鳥どころか、多くのメリットをもたらせると自治体は認識するようになる。同時に観光立国政策は、旅行者を増加させ、ドライバーたちやその一行の休憩所も不可欠なドライブイン的な施設となる。

 地域の物産を土産品にするために、あらゆる加工がなされ、「道の駅」で販売する工夫が常識化してきた。また、商品を販売するだけではなく、飲食の施設も充実し、名物を多数作り地域社会の活性化に「道の駅」は大きく貢献してきた。その「道の駅」が誕生して、今年で30年を迎えるのだ。全国に特色ある「道の駅」が点在し、旅行者たちのオアシスになって久しいが、私たちはさらなる発展を期待する。

 地域活性化の各自治体の拠点として、すでに全国で1180カ所に「道の駅」が設置されている。当初のモデルとなった運営から、大きく様変わりしていて、重要な観光拠点ともなっている。加えて、全国各地で毎年のごとく自然災害が起こるため、地域社会の防災施設ともなっていたりする。「道の駅」の多機能化が進展し、各自治体や地域によって「道の駅」が活用されている。

 古くから車社会が常識のアメリカでは、幹線道路のパーキングエリアはポストであり、飲食店があったり休憩所がある。そして、ホリデイインをはじめとするドライブインのホテルがいくつかあった。観光の拠点でありながら、流通関係の客たちも多かった。今、思えば日本の高速道路のパーキングエリアのような所だった。

 読売新聞によると、京都府丹波町にある「京丹波 味夢の里」という道の駅の隣接地に「フェアフィールド・バイ・マリオット京都京丹波」というホテルが開業したという。宿泊だけで客室数75、食事は道の駅でとればいい。積水ハウスがアメリカのホテル大手であるマリオット・インターナショナルと組んで、京都を皮切りに全国展開すると報じられていた。

 その土地の名物料理こそが食べてみたいという願望が強いのは人情、素泊まりだけのホテルは成功すると思われる。飲食を提供する施設は人件費もかさむ。積水ハウスは宿泊に特化した新様式のホテルを「道の駅」の近くに造り、集客力をもくろむ。このホテルは、災害時にも役立つ防災拠点の一角を担うに違いない。災害時に利用できる発電設備を設置すれば、さらに「道の駅」が生きてくる。

 「道の駅」が、これからいかに企業と連携するかが重要になってくる。京都の積水ハウスの例を手本にして、想像力をたくましくせねばならない。「道の駅」30年は、施設を多機能化させる結論を導き出した。国交省の有識者会議は、「ドライバーの休憩所」から「観光情報の発信拠点」へと発展させ、やがて地方創生や観光振興の機能を強化すべきだと提言をまとめた。いずれにせよ、全国にある1180カ所の「道の駅」は、それぞれ特徴ある施設として経営せねばならない。

 新商品の開発、露天風呂の設置や冬場のイルミネーション装飾など、集客のための研究や工夫こそが「道の駅」の存在を左右する。まず、近隣の住民に愛される施設でリピーターの多い魅力を創造しなければならないだろう。

 
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