【口福のおすそわけ 548】食研博2025!~後編~ 竹内美樹


 日本食研展示会の続報。中華コーナーでは「食研仕込」の素材と、同社が誇る「食研ブランド」のソースで作ったエビチリとレバニラ炒めを振る舞っていた。素材とソースがあれば、誰でも簡単に調理できてしまう優れモノである。

 次は天ぷら。保水処理をせず、甘みやうま味が強い伸ばしエビを揚げる衣は、グルテンの生成を抑えた小麦粉をブレンドし、軽い食感を実現した食研天ぷら粉。このサクッと歯切れの良い天ぷらを揚げていたのは、天ぷら職人ではなく、何と営業員! 実は同社に営業部は存在せず、「営業技術部」と呼ばれている。

 自社商品の調理法や販売方法、原価計算に至るまで、全てを顧客に提案するのが同社の営業スタイル。だから、営業員でも顧客のニーズに合わせた提案ができるよう、調理の腕を磨いているのだ。全商品を自社開発し、製造から販売までを手掛ける「製販一貫モデル」はそうした営業力と国内外約400人の研究開発部員に支えられている。

 展示会に話を戻そう。うどん、和惣菜、ハンバーグ、から揚げ、カレー、とんかつのブースが次々に登場。いずれの商品にも、こだわりが詰まっている。

 例えば、一般的な冷凍ハンバーグの肉比率はおよそ36%程度なのに対し、食研ハンバーグは63%と手作りレベル。食研から揚げは、鶏肉を生のまま凍結する「生仕上げ製法」だからジューシーだ。また、一個ずつ手作業で余分な粉を落としているから、絶妙なパリサク食感♪

 そして昨年10月に新発売された、食研エビフライ。コンセプトは「ごちそう復活」。昔はプロの料理人が作るごちそうだったエビフライだが、安価な冷凍品が流通する今、衣は分厚いのにエビが細くてガッカリなんてことが。そこで、ひと口目からおいしいと感じられるようなエビフライの開発を目指した。甘みやうま味を蓄えた海水養殖のエビを、水揚げ後すぐ氷締めにして加工。鮮度抜群だから、エビ本来の力強い食感に。頭側は伸ばさず、ひと口目の食べ応えにこだわった。殻むき、背ワタ取り、剣先カットなどの下処理も、特製バッターとひきたてのパン粉を付けるのも、全て一尾ずつ丁寧に手作業で行うという。まさに、ごちそう感満載♪

 会場中央部分には、今年6月登場予定の新ブランド「食研酒場」のブースが。3種のソーセージ、牛すじ煮込み、豚もつ煮、ごぼうから揚げがお披露目された。牛すじも豚もつも、たれと素材を煮込むだけ!

 会場を出る頃にはお腹いっぱい。招待状の文言通り、妥協のない味づくりを、見て食べて体感できた。

 かつてKO宮殿工場に伺った際の詳細は別の機会に譲るとして、当時よりずっと大きく成長した日本食研グループ。2019年には初期投資額250億円という第二の宮殿「シェーンブルン宮殿工場」が完成。直販ゆえ顧客に寄り添える企画開発力と販売力、そして高い製造能力で、同グループは今後ますます発展するだろうと、「食研博」で確信した。

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。


(観光経済新聞25年4月21日号掲載コラム)

 
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