
今日は母の誕生日。筆者の家族の誕生日には、必ずボスがバースデーケーキを用意してくださる。ケーキはいつも、墨田区緑2丁目にある「カラフルペア」に注文。同店は、お菓子をもっと身近なものにしたいというのがコンセプト。手ごろなコンビニスイーツと、いわゆる高級路線の「パティスリー」の中間を目指しておられる。高価な材料を使わなくても、職人の手でおいしいお菓子が作れると公式サイトでうたっている通り、ホンモノの技のあるケーキが、手の届きやすい価格で販売されている。
アルコールで糖分を摂取しているからか…? 普段あまり甘いものはいただかない筆者だが、同店のケーキは別格。ショートケーキの生クリームのおいしいことといったら! やさしい甘さでふんわりとろけるやわらかさ。生クリーム好きの筆者にはたまらない♪ スポンジケーキも軽いので、ペロリといただける。両国駅と菊川駅の真ん中辺りと、立地が良いとはいえないのに、人気の「コクうまシュー」は夕方には売り切れのことが多い。パイ生地を焼く技術が詰まったクロワッサンも最高だ。
それにしても、誕生日にバースデーケーキでお祝いする習慣って、日本にはいつごろから根付いたんだろう? そもそもバースデーケーキ自体、どうして生まれたのか? 諸説あるが、ルーツは古代ギリシャにまでさかのぼるとする説が有力。古代ギリシャ人は、月の女神アルテミスの誕生日を祝うために、月の形を模した丸いハニーケーキを供え、ろうそくを立てて火をともしたそうだ。月の光の輝きをろうそくの火で表現するためとも、立ち上った煙が天に願いを届けてくれると信じられていたともいわれ、理由は定かではないが、誕生日ケーキにろうそくを立て火をともす習慣は、これに由来するとされている。
誕生日パーティーの始まりは、15世紀ごろにドイツで行われていた「キンダーフェスト」という子供の誕生日会に由来するようだ。当時、子供の誕生日を狙って悪霊がやって来ると考えられており、誕生日の子を守るために多くの人が集まり、ケーキにろうそくを立て神に祈りを捧げ、1日中ともしていたという。無事に1日が終わると、夕食後集まった皆でケーキを切り分けて食べたそうだ。
これが欧米に伝わり、日本には戦後米国からもたらされたといわれる。一般的に広まったのは、二つの要因からのようだ。まず一つは、1949(昭和24)年に公布され、翌年から施行された「年齢の唱え方に関する法律」が大きな要因とされる。それまでの日本では、数え年が主流で、歳神さまがやって来る元日に、皆一斉に歳を取ると考えられていたため、個人の誕生日を祝うという習慣が一般的ではなかったのだ。この法律ができて、人々に満年齢という感覚が浸透して初めて、個人の誕生日に対する認識が深まったらしい。
じゃあ、もう一つの要因は? モチロン、アレだ! 日本のバースデーケーキの変遷など、続きは次号で♪
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。