【口福のおすそわけ 445】都内で観光旅行♪~前編~ 竹内美樹


竹内氏

 コロナ禍前は、年に1~2回行っていたソウル。ショッピングやカジノもいいけど一番はお食事。ケジャンはこの店、サムゲタンならここ…と、焼肉も鍋物も行きつけの店が決まっていて、ひたすら食べまくる。そろそろ久々に行きたいなぁと思っていた矢先、幸運にも韓国料理通の友人夫妻が、コリアンタウンに連れていってくださった。

 東京でコリアンタウンといえば新宿区の新大久保が有名。2002年の日韓共催サッカーW杯ごろから韓国系の店が増え、「冬ソナ」が巻き起こした韓流ブームに乗って発展したそうだが、都内にはもっと古いコリアンタウンがあるという。その一つ、台東区東上野の「キムチ横丁」は、1948年ごろ生まれた東京最古のコリアンタウンといわれる。ここで、まずは白菜のキムチをゲット♪

 その後、近くの精肉店へ。おいしそうな牛ロースの塊があったのだが、端の方が硬そうに見えたので、ここからこの辺までほしいと言ったら、何と、言葉が通じないではないか! 韓国人コミュニティで暮らす人々にとって、日本語はあまり必要ないのだろう。そこはまさに、パスポートの要らない韓国。新大久保が観光名所なのに対し、コチラは生活密着型だった。

 次に訪れたのは、荒川区三河島の「三河島朝鮮マーケット」。1951年創業の「丸萬商店」を中心に済州島出身の人々が集まったそうで、こちらも70年以上の歴史がある。こんな所にお店があるの?とビックリするほど狭い路地を入ると、小さな韓国食材店が数軒並び、一番奥に同店が。

 ここではサムギョプサル用の生三枚肉と、ポッサム用にゆでた三枚肉ブロック、うずらの卵しょうゆ漬け、韓国産粉唐辛子やサムジャンなどを購入。…それって何?という方に、ここでちょっとご説明したい。

 サムギョプサルとは、厚さ5ミリ程度に切った豚の三枚肉を、味付けせずに焼き、キムチやサムジャンなどと一緒に、サンチュやエゴマの葉で巻いて食す料理。一方、ポッサムは、三枚肉をブロックのままゆでてからカット。焼くかゆでるかの違いだけで、あとはサムギョプサルと同じだ。同店のブロック肉は皮付きだったが、これは済州島のスタンダードらしい。

 サムジャンとは、米、もち米、こうじ、唐辛子などを発酵させた唐辛子みそコチュジャンに、砂糖やゴマ、にんにくなどを合わせた、甘辛くコクのある調味料だ。

 うずらの卵は、生の青唐辛子と共にしょうゆダレに漬け込まれていて、バリウマ。この青唐辛子、そのままかじれるくらいの辛さ。韓国産の唐辛子は、辛味成分カプサイシンの含有量が少なく、辛さよりむしろ甘みやうま味を感じる品種が多いのだそう。だから、その粉唐辛子を使えば、激辛にならずに料理を赤く染められる。

 商品包装のハングル文字であふれかえった店内にいると、現地にいるかのような錯覚を覚えてしまう。韓国旅行気分を味わえる、ディープなコリアンタウン体験、続きは次号で♪

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
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