久々に行動制限のない年末年始、帰省ラッシュやUターンラッシュ、初詣の参拝客でにぎわう神社の様子などのニュースで沸いた日本列島。もう一つ大きく取り上げられていたのは、新型コロナ水際対策の緩和による訪日外国人観光客の増加。円安も手伝って、インバウンド消費額はうなぎ上りだといわれる。
日本政策投資銀行と公益財団法人日本交通公社が2012年から共同で実施している「アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意識調査」の22年版によると、12の国と地域に住む人々が選んだ、次に観光旅行をしてみたい国の栄えある第1位は日本。
訪問したい理由は、食事がおいしい、治安が良い、買い物がしたい、泊まりたい宿泊施設がある、などで、治安の良さ以外は外国人にとって、いずれも円安の恩恵にあずかれる内容である。
逆に言えば、日本人が海外旅行をする場合、食事も買い物も宿泊も、割高感満載になるってこと。米NYに進出している日本のラーメン店のラーメン1杯が約2800円だそうだ。オーマイガー! モチロン円安だけでなく、米国のインフレや人件費の高さもあるが、日本では820円と考えると、もはや異常事態。
筆者の妹は、為替の専門家として時折テレビで解説などもしているが、家で説明してくれるワケじゃないから、ナゼこんなに円安になっちゃったのか、筆者にはぼんやりとしか分からない。だが、そんな筆者でも理解できる経済指標があった。BMIである。
肥満度を表す指標ではない。Big Mac indexの略で、「ビッグマック指数」のこと。世界100カ国以上で展開するマクドナルドの定番商品ビッグマックは、全世界同じ食材と調理法で作られている。本来なら、各国同じ値段になるハズという「一物一価の法則」に基づき、ビッグマックの価格で各国の物価を比較できるとする指標だ。英国経済専門誌「エコノミスト」が1986年に考案、毎年1月と7月に公表される。
直近のデータ22年7月時点で、米国のビッグマックは5・15ドル。当時の為替レート1ドル137・87円で計算すると、710円だ。対して日本の価格は当時390円(9月末410円に値上げ)。米国の物価は日本の約1・8倍という計算だ。
ビッグマックの価格の順位を見ると、1位がスイスの925円、米国が6位で、ユーロ圏は657円の10位。お隣韓国は483円で32位、日本はというと41位である。2000年当時のランキングでは、日本は5位、米国が8位で、日本の価格の方が高かったというからオドロキだ。
それにしても、食べ物からその国の経済事情が分かるってスゴイ! 他にも、時給最低賃金から、ビッグマック1個を買うのに何分働く必要があるか?なんて検証したりするらしい。食べ物って、食べるだけじゃないのね。おいしそうな食べ物を前にすると、どこからどう食べるかしか考えられない筆者には、到底思い浮かばないが…。
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。