【口福のおすそわけ 435】進化する調味料~スパイス編 その1~ 竹内美樹

  • 2022年11月11日

竹内氏

 今、ちょっとした調味料ブームである。先日も、「調味料選手権」なるものが開催され、テレビの情報番組でずいぶん取り上げられていた。たくさんのエントリー商品の中から、専門家の厳しい審査や一般消費者の人気投票などを経て、「ご飯のおとも」や「ドレッシング」などさまざまな部門賞が選ばれる。その総合1位に輝いたのは、和歌山県「Orangeアウトドアショップ」の「燻製(くんせい)アウトドアスパイス ほりにしブラック」だ。

 名称からも分かるように、この商品もオリジナルのノーマルバージョンも、キャンパー向けに開発されたもの。キャンプにたくさんの調味料を持って行くのは面倒だし、液体はこぼれる心配がある。だから、手軽に持ち運べてどんな食材にも合い、一つで味付けが決まるというコンセプトで開発されたそうだ。同様に、それさえ使えば大抵の料理がウマくなると評判の「万能調味料」がキャンパーたちにウケ、ノーマルバージョンの「ほりにし」と、兄貴分である「マキシマム」「黒瀬のスパイス」の三つが「キャンプ飯三種の神器」「最強スパイス三兄弟」などと呼ばれている。

 当初はキャンパー間だけのはやりモノだったが、彼らのSNSに影響されて万能調味料を試した人たちの、「一人暮らしのズボラ飯が劇的にうまくなった」とか、「お料理は苦手だけど、これ一本でおいしい炒め物ができるから助かる」などという発信が急増、一般家庭にも人気が広がった。

 「ほりにし」は、自称「人口1万7千人の田舎のアウトドアショップ」のマネージャーで料理人経験のある堀西晃弘氏が、5年の歳月をかけて開発、20種類以上のスパイスがブレンドされているという。2019年の販売開始からわずか1年で、20万本も売り上げたそうだ。その人気ぶりに目を付けたローソンが、今夏、「からあげクンほりにし」「ほりにしおにぎり」の2種のコラボ商品をリリースし、話題になった。

 あまたある万能調味料と「ほりにし」の大きな違いは、ミルポアパウダーをブレンドしていること。ミルポアとは、さいの目に切ったタマネギ、ニンジン、セロリなどの香味野菜をバターでじっくり炒めた、フランス料理のうま味ベース。コレをパウダー状に加工したものが、うま味爆弾のごとくガツンと味蕾(みらい)を刺激するのだ。

 同店は21年に辛口の「赤」、続いて白トリュフソルトをブレンドした高級版の「金」を発売、4作目が今回1位を獲得した燻製の「黒」だ。実は調味料マニアの筆者、これらは全てそろえてある。だが3兄弟をはじめ、人気の調味料は売り切れ続出で一時、入手困難だったし、ネット通販ではプレミアが付いて、かなり高額になっていたことも。

 そんなブームの火付け役は「ほりにし」かもしれないが、兄貴分たちが築いてきた下地があればこそ。次号では、昭和6年創業の中村食肉「マキシマム」、昭和25年創業のかしわ屋くろせ「黒瀬のスパイス」、さらに最近話題の万能調味料をご紹介。乞うご期待!

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
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