【口福のおすそわけ 425】レンチンでビニヤニ♪ 竹内美樹


竹内氏

 日本の松茸ご飯、スペインのパエリアと並び、世界三大炊き込みご飯の一つとされる「ビリヤニ」。イマドキのカレー業界のトレンドだ。以前はなかったビリヤニ専門店も出現し、自宅で作れるビリヤニ用スパイスミックスなんかもネット通販で購入できる。

 ビリヤニとは元来、インドやバングラデシュ、パキスタンなどで食されている、結婚式などハレの日のごちそうだ。日本ビリヤニ協会によると、その定義は次の条件を満たすものだそう。「バスマティ米」を使用していること。そして、「パッキ式」「カッチ式」「ボイル式」のいずれかの調理法であること。さらに、2種類以上のスパイスを使用しており、イスラム教の教えに則り、肉を使用する場合は豚肉以外を使うこと。

 何が何やら分かりづらいが、普通の炊き込みご飯とはワケが違うのだ。理解するには調理法を知らねばなるまい。「パッキ式」とは、まずグレービーと呼ばれるカレーを作り、バスマティ米を硬めにゆでて、それらが層になるように交互に重ねて鍋に入れ、蒸し上げる方法。その際、ふたと鍋の隙間をナンやチャパティの生地でピッタリ覆うのだが、これをダムと呼ぶ。本場ではふたの上に炭火を載せ、鍋の上下から弱火でじっくり加熱するという。

 「カッチ式」のカッチとは、ヒンドゥー語で「生」という意味で、その名の通りヨーグルトやスパイスでマリネした生肉を鍋底に入れ、その上にゆでたバスマティ米を載せて蒸し上げる方法。「ボイル式」は、水分の多いカレーに、生米を投入して炊く方式だ。

 おいしいカレーと風味豊かなご飯があれば、それで良さそうなものだが、この両者を合わせることによって、炊き込みご飯とも混ぜご飯とも違う、独特な口福の味が生まれるのだ。それにしても、想像しただけで面倒な料理である。

 コレを、いとも簡単に電子レンジで作ってしまおうというレシピをネットで発見! 南インド料理店「エリックサウス」総料理長で飲食店プロデューサーの稲田俊輔氏によるもので、レンジ加熱OKなプラスチック保存容器一つでできてしまうという。

 ホントにできるのか?と半信半疑だったが、大好きなビリヤニを食べたい一心で試してみることに。一口大に切った鶏肉とタマネギの薄切り、ニンニクとショウガのみじん切りを、ターメリックパウダーやカイエンペッパーなどのスパイスと混ぜる。耐熱容器で浸水させておいたバスマティ米に、缶詰のカットトマトを混ぜバターを載せ、その上にスパイス入りの具を載せたら、600ワットで10分+解凍モードで8分レンジアップ。水分が均等に行き渡るように、容器ごと逆さまにひっくり返して5分蒸らせば出来上がり!

 そのお味は何と、本格的なビリヤニに遜色ない。鶏のうま味をタップリ吸ったご飯は超ベリウマ♪ 今まで敬遠してたけど、恐るべし、レンチン。…と、レンジ調理の料理本を、アマゾンでポチった筆者であった。

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
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