【口福のおすそわけ 413】パエリア道 竹内美樹

  • 2022年5月20日

竹内氏

 時折無性に食べたくなって、パエリアを作る。実は、以前スペインを訪れた際、土産物屋の店先に乱雑に積み重ねてあったパエリアパンを衝動買いしてしまった。外径38センチ、内径33センチもある鍋を担いで帰ってくるのは結構大変だった。せっかくだから使わなきゃと、パエリアを作るたびに、ネットでレシピを検索。すると次々いろいろな作り方が出てきて、結局自己流に。ホントはどうなのか?

 そもそもパエリアは、スペイン東部バレンシア地方発祥の米料理。農作業中の昼食時、田んぼの傍らで火を起こし、大鍋に米や肉を入れて煮たのがパエリアの起源といわれる。元々Paella(パエリア・パエージャ)は、バレンシア語で鉄製の鍋を指したそうだ。いつしか浅型のパエリアパンで作る料理自体をそう呼ぶようになったとか。

 イベリア半島の山の幸、地中海の海の幸に恵まれたスペインのパエリアは、地域によって具材や味付けが異なるようだ。ボンバ米、通称バレンシア米の産地で、パエリアの本家バレンシアの具材は山の幸だ。鶏肉、うさぎ肉、カタツムリ、インゲンなど豆類、パプリカを入れ、サフランで風味を付ける。われわれが想像するエビやムール貝が入ったパエリアは、本場では邪道らしい。

 話を戻そう。パエリア作りにおいて筆者が知りたいポイントは三つ。その1、お米を炒めるか否か? お米を炒めてからスープを入れるレシピと、スープにお米を投入するレシピがある。どっちが正解なの?

 その2、お米に対するスープの割合。お米の倍という人もいれば、4倍という人までいるから難しい。

 その3、ふたをすべきか否か? 本場スペインで、ムチャクチャ大きなパエリアパンで調理している様子を見ると、ふたなんてできるハズがない。うちの鍋でさえ、アルミホイルを被せるしかないけど、ふたなしでちゃんと炊けるのか心配だ。

 調べていくうち、恐らくお米の違いだろうという結論にたどり着いた。ボンバ米は短粒種で日本のお米と似ているが、アミロースが多く、パラッと仕上がるのが特徴。体積の2~3倍の水を吸収するため、多くの水が必要だそうだ。つまり、お米の種類によって、必要な水分量が違うのだ。あらかじめ炒めて油でコーティングしたり、ふたをして炊いたり蒸らしたりという工程も、お米次第というワケ。

 愛用のパエリアパン、最近、中心だけ真っ黒に焦げるようになってしまった。お焦げはソカラ(socarrat)といって、スペインでも本物のパエリアに必要不可欠とされるそうだが、それどころじゃなく、明らかに炭化しているほどの黒焦げぶりだ。鍋の大きさに対してガスの火が当たる範囲が小さいので、付きっきりで鍋を回しているのだが、それでもダメ。そこで先日、直火ほど火加減が難しくないホットプレートで作ってみたら、案外イケた。

 でもやっぱり、次はあのパエリアパンで、もう一度トライしてみよう。ふたをやめて、スープの量を変えて、パエリア道を究めるぞ!

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
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