【口福のおすそわけ 399】鴨川の蓮根 竹内美樹

  • 2022年2月3日

竹内氏

 オミクロン株の脅威で、筆者が役員を務める会社でも、お弁当や飲食店のキャンセルが相次いでいるが、宿泊施設も大変だろう。親しくさせていただいている、千葉県鴨川温泉「海辺の宿恵比寿」の伊丹一茂専務に話を聞いた。2年前に房総を襲った台風19、20号で大打撃を受け、館内の一部をリニューアル、被害から1年たちようやく再スタートを切った途端、コロナ禍に突入してしまったそうだ。個室食事処などもせっかく奇麗にしたのに、まったく商売になっていないと言う。

 筆者もたびたびお邪魔しているが、海の幸のおいしいアットホームな宿で、とても居心地が良い。かつて社員旅行でも利用させていただいた同館を、先頃、会社のボスが久々に訪れた折、伊丹専務に教わった道の駅で買ったという地元産の野菜を、お土産にいただいた。

 その中に、珍しいモノが。「シャキシャキ!サラダれんこん」とシールが貼ってある。蓮根(れんこん)は生食可能だが、今までトライした際は繊維やアクが強過ぎてキビシかった。今回は大丈夫か?

 皮をむいてみると、その白さに驚く。薄く切って口に運んでみると、ジューシーで梨のように甘い。ただ、老齢の母にはちょっぴり硬いだろうから、やっぱりサッと火を通すことに。それほどガッツリ火を入れなくても十分イケる。コレなら母も大丈夫だろう。しかも、シャキシャキの歯応えも残っている。筆者はよく、乱切りの蓮根を、ベーコンと共にバターしょうゆ味で炒め煮にする。ホクホクした食感が楽しめて美味。調理法次第で、別の食材かのように変身するのも魅力だ。

 他にどんな調理法があるのかな?と、サラダ蓮根でググってみると、「鴨川サラダれんこん」がヒット。生産者は株式会社高橋れんこんだ。観光業から蓮根づくりにシフトした高橋氏が、その研究を始めたのは10年ほど前。重粘土質の土壌のおかげか、甘くてフルーティーな蓮根が育ち、瞬く間に話題となり、百貨店での販売も決まったため昨年法人化した。食育の一環として、鴨川市の学校給食でも利用されているという。同市では、土壌が蓮根栽培に向いており、米作より高収益で、耕作放棄地の解消にも役立つことから、蓮根栽培の拡大を支援している。

 収穫は8月ごろ始まり、翌5月まで。炎天下の夏や極寒の冬、水田に腰まで浸かっての作業は、70代後半の同氏にはキツイと思うが、蓮根パワーで元気なのだそう。蓮根はたまに糸を引くが、その正体ムチンは、体の粘膜を保護してくれるので、風邪の予防になる。免疫力を高めるビタミンCも多く、その量何とリンゴの約12倍といわれる。

 蓮根は「根」と書くが、実は地下茎が肥大したもの。食用と観賞用では品種が異なるが、食用産地でも花は撮影スポットとして人気だそうだ。地域活性化にも役立つのだからスゴイ。

 輪切りにすると多数の穴が開いているので、「先の見通しが良い」と縁起物とされる蓮根。コロナの先行きが早く見通せるよう、願いつつ食べようと思う。

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

     
 
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