【全旅連座談会】多田会長 × 大木副会長 × 鈴木青年部長 × 田中JKK会長

  • 2021年4月24日

ウィズコロナ時代を生き抜くために 宿泊業界の今後と全旅連の取り組み

「コロナ禍でも持続可能な経営を」と各氏

 新型コロナウイルスの感染拡大から1年余りが経過した。感染状況が一進一退を繰り返し、宿泊事業者の経営は依然、厳しいままだ。全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)は、再三にわたる国への陳情や、「ウィズコロナ調査研究会」の活動で組合員旅館・ホテルの経営持続に腐心している。今回、全旅連役員4氏にお集まりいただき、これまでと今後の取り組み、ウィズコロナ時代を生き抜くための方策を語っていただいた。(座談会は3月29日、東京の全国旅館会館で。多田氏は同30日取材)

 

 ――(司会)コロナ禍の状況から1年余り。これまでを振り返ると。

 

大木氏

 大木 業界の皆さまが今、どんな思いでいるのかを、まず知る必要がある。そして一生懸命頑張っているのだが、それでも厳しいのだと国や世間に訴える必要がある。そんな思いから、この調査研究会を立ち上げて、およそ1年が経過した。

 私が所属する愛媛県の旅館ホテル組合では、愛媛大学医学部の先生に県内各地を回ってもらい、このコロナにどう向き合っていくべきかを組合員の皆さまに話していただいた。コロナに対する皆さまの理解がだいぶ深まったと思うが、一方で難しい問題も露呈している。人の命にかかわることなので、商売の論理だけでは語れないのだ。

 だが、われわれとしても厳しい状況を何としても乗り越えていかねばならない。組合員の皆さまの声をしっかり受け止め、国や世間に訴えていかねばならない。そう思ってこの1年間を過ごしてきた。
鈴木 目まぐるしく、あっという間の1年だった。

 今、Go Toトラベル事業がストップして、1年前と似たような状況になっているが、Go Toが本格化した昨年9~11月のおかげで、何とか去年の今頃とは違う心理状態で今は経営ができているのではないかと感じる。

 社会を見渡すと、メディアが相変わらずわれわれに対して厳しい見方をしている。われわれはメディアに対して正しい情報を発信する義務があると思う。ただ、難しいのは、世間が正しい情報よりも面白い情報を欲していることだ。世論を味方にする力をわれわれは身に付けなければならない。

 

田中氏

 田中 この1年、JKK(女性経営者の会)では、会員同士で集まる機会を1回しか作れませんでした。それが悔しくてなりません。ただ、メールなどのやり取りは活発に行っています。

 コロナで誰もがしんどい思いをしています。私ども京都の観光地も敬遠されて、神社に1人ぼっちで自分の足音だけで怖かったというお客さまがいたり、過去には考えられないことが起きています。宿の稼働率は10%を切ることもあり、完全休業で収入がゼロの時期もありました。

 少しぐらい収束しても、急にお客さまが戻ることはないでしょう。しばらくはご家族が車で移動されるといった旅行が主流になると思います。

 宿泊施設が軽症の方の受け入れ施設になっています。宿が安全だからです。Go To事業も宿でクラスターが起きたという話は、人が何万人と動いていますが一切聞きません。この事実をもっと知っていただきたいと思います。

 外国の方から「いつになったら行けるようになるの」「収束したら絶対行くよ」とメールをいただきます。テレワークと思われる方が1週間や1カ月間滞在されるという新しい動きも出てきています。

 ワクチンがどれだけ普及するか分かりませんが、早く、今まで通り動けるようになることを望んでいます。

 

多田氏

 多田 ここ数年、日本人の国内旅行が伸び悩む中で、インバウンドが上げ潮となり、われわれにとってもフォローの風となった。しかし、今回の世界的パンデミックで一気に水を差された。

 全旅連として仲間の窮状を観議連(自民党観光産業振興議員連盟)の先生方や省庁に訴えてきたが、先生方のアクションも早く、無利子無担保の融資などさまざまな制度が矢継ぎ早にできた。

 残念だったのは、「観光業だけがなぜ、こんなに支援を受けるのか」という声が世間から上がったことだ。観光に対する国民の理解度が、まだ低いのだと感じた。

 観光は地方創生の切り札であり、観光の成長なくしてこの国の成長はない。他の産業に比べて多くの支援を受けていない割には、多額の税金も納めている。観光がいかに世の中の役に立っているのか。知らしめていかねばならないと強く思っているところだ。

 Go To事業が一時停止となったのは大変残念だ。旅行が感染を広げたというエビデンスがないにもかかわらず、感情論が先走ってしまった。

 われわれ自身がデータを取ったり、科学的分析をしたりするなど努力をしていかないと、これからも同じことが起きてしまう。今回のことを教訓に、考えていかねばならない。

 無利子無担保融資、雇用調整助成金の特例など、さまざまな支援策ができた中で、全旅連は固定資産税に着目し、その納税猶予と減免を実現した。これはわれわれにとって大きなことだと思う。

 旅館の固定資産税ほど高いものはない。その点も大いに議論して、変えていかねばならない。

 

 大木 SARS、MERS、震災と、過去にさまざまな経験をした。旅館業は外部の環境に左右されやすいので、その都度苦労をしたが、今回のコロナだけは本当に異常で、これ以上ない経験をさせられている。

 街の形が変わった。街が真っ暗になって、大きな犯罪は起きていないが、旅館では小さな窃盗などがあったようだ。

 雇用調整助成金を利用して社員を休ませたり、宿を休業したりするのだが、社員が戻ってきたとき、マインドを元に戻すのが難しい。初めは素人が仕事をしているように見えて、元に戻すまで1週間から10日ぐらいかかった。

 だから私のところでは、3館を経営しているのだが、今は1館は必ず稼働をさせて、調理場だけは止めないようにしている。調理場がマインドを失うと、食中毒の危険もあるので、そこには十分気を付けている。

 限界がもう、すぐ目の前に来ているのは事実だ。Go Toの再開はまだ先になる。どう、持続可能な経営をするか。知恵を出さなければならない。

 

鈴木氏

 鈴木 青年部では4~5人、廃業を余儀なくされる仲間が出てしまった。

 しかし先日、緊急事態宣言が解除された初の週末、Zoom会議に出席した青年部員に聞くと、みんな単価はものすごく下がったが、久々の満室だったという。

 私の地元でも人が増えていると感じた。走る車が多い。桜の名所はそうでもなく、買い物に行く人が多かったのかもしれないが、とにかく人が動きだしたという感覚はあった。

 私の地域は小さい温泉地だが、営業と休業のバランスをうまくとりながら営業を続けている宿が多い。全国的に同じような傾向だと思うし、当面、このような状況が続くのだろう。

 自治体独自のキャンペーンでは、手を上げた自治体に国が財政的な支援をすることになった。経済を全国一律に止めるのは良くないと、国が1年の経験を経て判断したのだろう。

 Go Toの全国一律の再開は、6月まで難しい状況だ。しかし、一律に経済を止めてはいけない。感染が落ち着いて、人が動いても良さそうな地域がある。私の地元の岡山県はずっとステージ2で、感染者は昨日が3人で一昨日がゼロ。約190万人の人口がいるが、そんな状況だ。

 一律にストップではなく、動かせるところだけでも動かしていかないと、日本全体が沈んでしまう。
そのことへの理解をみんなが持ってほしい。自分たちが払っている税金が、公平性がないところに使われるのが嫌だという。しかし、税金は日本の経済を維持し、成長させていくために使われるものだ。日本人に生まれた以上、日本をどうやって守っていくのかを真剣に考えるべきだし、メディアもこのことをしっかりと伝えてほしい。

 

 田中 誰の言うことが正しいのか、メディアを見てもよく分かりません。確かなことだけを報道してほしいですね。

 行政の支援は都道府県ごとに温度差があり、なかなか恩恵を受けられない仲間もいます。私も自力で何とか頑張ってやるしかないなと思っているところです。

 修学旅行はようやく3月に動き始めましたが、関東1都3県の緊急事態宣言が延長になったと言われた瞬間、今まであった予約がなくなってしまいました。去年の春の実施を、今年の3月なら大丈夫だろうと延期をしたにもかかわらず、また駄目になった学校もありました。

 3月はもともと北海道からの修学旅行が動くので、その予約を頂いている宿は何とか息継ぎができましたが、関東がメインの宿は完全にアウトで、「どうしたらいいのか」とおっしゃっています。

 「旅行の予定の日に何もなければ行くよ」「収まったら家族で行くから」と、先生方や親御さんから電話がかかってきます。みんな修学旅行に行きたいし、私たちも来てもらいたいんです。

 でも、一番かわいそうなのは子どもたちです。その思いが先に立ちますね。

 旅館は安心、安全を心掛けています。でも、ホテルと違い、館によって形が全く違いますから、受け入れ態勢を心配される親御さんもいらっしゃいます。そんな皆さまのために、Zoomを使って、館内を案内する取り組みを最近始めたところです。

 

 多田 コロナ禍で、特に団体旅行が減少した。もともと減っていたのだが、ここにきて一気になくなった。

 われわれは単にコロナで減少したと捉えずに、将来を見据えたわれわれへの問いかけだと考え、これから新たな営業や受け入れの態勢を整備するべきだと思う。

 当館を例に取れば、館内に200畳の宴会場があったのだが、コロナ前からその必要性が議論され、結果としてなくすことになり、工事に踏み切った。

 今のコロナ禍で何ができるか。駄目だ駄目だと騒ぐだけではなく、今を逆にチャンスと捉え、今だからこそできることを考えて取り組まなければならない。

 もちろん、経営をつなぐ上で最低限必要なこと、われわれに課せられている不条理なことの改善は、国に対して訴えていく。

 

 

 ――Go Toやマスコミ報道について、さらにお聞きしたい。

 多田 Go Toは感染拡大の汚名を背負っているが、実際は関連性が非常に薄いものだと国立感染症研究所の方が論文を出している。旅行者の感染事例は少ないし、徹底的に分析しても、若干は増えるだろうが恐らく少ないはずだ。健康な人が旅行をしている率が高いし、旅先で温泉に入ったり、おいしいものを食べたりでリフレッシュすれば免疫力がアップする。

 われわれ旅館は行政の指導にのっとって対策をしっかり行っている。汚名を着せられていることが非常に残念だ。

 大木 われわれ宿泊施設は長い間、厚生労働省の指導の下、安全対策は嫌というほど叩き込まれてきた。コロナ対策も科学的にしっかり行っている。パブリックスペースではマスクの装着。浴場や食事処は、混んできたら入るのを控えるよう頼むとか、椅子の間隔を開けるとか、とにかくこれ以上、安全な場所はないぐらいの対策をしている。ほとんどの旅館がそうだと思う。

 だけど、その事実がなかなかマスコミに捉えられない。そこがもどかしく感じる。

 震災のとき、マスコミが取材に来るが、被害が激しい場所だけを映したりする。コロナ禍でもわれわれが頑張っているところをあまり捉えない。われわれの発信力の弱さもあるのだが、もっと別の角度で捉えてもらえば世間の見方もだいぶ変わるだろう。

 鈴木 都道府県のキャンペーンに国が支援をする。ありがたいことだが、予算規模が大きければ県が事務局を設けなければいけない。そして、規定により公募をしなければならず、決定までに少なくとも1カ月は要する。国の予算は5月末までに消化をしなければならないので、それでは事業をできない、という県も出てきてしまう。

 そのあたりをどうするのか。青年部の要望を観光庁に伝えたいと思う。

 Go Toに関しては、宿の直販を制度に組み入れてもらったのが大きな成果だ。宿にメリットがあり、お客さまにも喜んでいただける。これはGo Toのレガシーだと思っている。今後、都道府県が行う事業で生かしてもらえればいい。

 報道については、観光経済新聞さんなど業界専門紙は、われわれの声をしっかり拾っていただいてありがたいのだが、そうではない一般のメディアの方々は視聴率が取りやすいとか、購読数が増えるとか、そのような取り上げ方が、商売なので分からないでもないが、どうしてもメインになる。しかし、そうやってやり玉に挙げられたのがGo To事業だ。

 将来も今のような厳しい状況になる可能性がある。私たちは、われわれの思いをうまく発信してもらえるよう、メディアとうまく付き合う方法を探っていかねばならない。

 田中 Go Toが始まったとき、仕組みが分からないというJKKの会員が結構いました。青年部の息子さんがいる宿では、息子さんからやり方を教えてもらい、その情報を会員同士で共有しようということもしました。そうやって一つ一つ乗り越えていきました。

 国からの発表が遅く、マスコミが言っていることもどこまで信じていいのか分からない。大きい館や、ある程度の地位にいる方の宿ですと国や県から情報が入ってきますが、小さい宿はどうしても遅れてしまう。JKKからの情報は本当に助かりましたと、会員の皆さまからおっしゃっていただきました。

 大木 業界を未来につなげるために、Go To事業が必要だと、われわれみんなが強く思っている。Go Toがなければわれわれの未来が大きく損なわれるのは間違いない。事業がさまざまな形に変化をしても、われわれは変わらずに、安全確保に一層努力をして、お客さまを受け入れていかねばならない。

 ただ、Go Toは未来永劫(えいごう)、われわれの経営を保障するものではない。コロナが若干収束し、Go Toが終了するならば、われわれは次なる経営の在り方を考えていかねばならない。今後、新たな感染症や、災害も起こり得る。そんな状況を繰り返す中で、われわれはどんな考え方で、どのような経営を行っていくべきなのか。調査研究会ではそのようなことを模索していく。

 

 

 ――全旅連のウィズコロナ調査研究会について、座長の大木さんから改めて説明を。

 大木 新型コロナの収束まで長期化が予想される中、組合員の皆さまに有益な情報を収集、発信し、経営に役立ててもらおうというものだ。「新型コロナウイルス対応ガイドラインの具体的実践方法の整理、共有」「『新しい旅のエチケット』の普及、啓発」「宿泊消費喚起策の国や自治体への要請」「宿泊施設の財務問題への具体的助言対応」の四つを柱としている。

 国や自治体への陳情を進める上で、われわれの経営実態を明らかにするべく、組合員の皆さまのご協力を得て、アンケートも数回にわたり取らせていただいた。

 今までの活動を記録した冊子を刊行する。「新型コロナウイルス感染症との400日間の闘い」とのタイトルで、冊子にして発行するとともに、全旅連の公式ホームページ「宿ネット」にもアップして、多くの方に見ていただけるようにする予定だ。

 

 ――アンケートは3月24日の観議連総会で示されたが、組合員施設の厳しい状況は変わっていない。

 大木 昨年10~11月にGo Toの特需があり、苦しい状況が続いた中で、米びつが多少埋まったという旅館が全国的に多かった。しかし、3月ぐらいから再び苦しくなり、融資で資金調達をしなければならない、できなければ国から何らかの支援を受けなければならないという状況に再び陥っている。

 多田 調査研究会のアンケートでは、経営の先々の不安に言及している。今の状況を許容できる期間は半年程度が27%と最も多いのだが、不明という答えも25%あった。私の解釈では、二つを足した半分以上の組合員が先の経営について、かなり逼迫(ひっぱく)した状況と言える。

 

 ――観議連がコロナの感染防止へ、宿泊施設などでの積極的な抗原検査実施を提言している。

 鈴木 観議連の提言は、「無症状感染者を特定できないために全ての人々の行動を自粛させ、いつまでも観光や催事の縮小を強制している。だから抗原検査をして安心安全に旅行ができるようにし、感染拡大防止と経済の両立を推進すべき」、という考えだ。

 無症状の感染者を特定することには医療の現場も含めてさまざまな意見があり、全旅連としても慎重に検討すべき事項だ。

 多田 組合員の皆さまがどのような考えを持っているのか。再度アンケートを取りたい。

 Go Toに参加する宿はお客さまに対して検温をしなければならない。お客さまやスタッフに相当ストレスがかかるだろうと最初は思ったが、うちでは問題なく行われている。

 抗原検査も手間がかかることは事実だが、安全を確保するためには理にかなっているといえる。

 大木 コロナが厄介なのは、無症状の感染者がいること。そして、抗原検査にしろPCR検査にしろ、陽性が判明すると、本人や周囲が強く傷ついてしまう。情報がオープンになり、かかった人が悪者になったという問題が起きている。

 鈴木 地方に行けば行くほど、近所付き合いが多いので、その傾向が強い。

 

 ――山梨県が「グリーン・ゾーン」という認証制度を設け、感染者数をかなり抑えている。

 大木 日頃から細かく注意喚起をしているところが良い結果につながっているようだ。山梨県の取り組みはモデルケースになりそうだ。岩手県や島根県も感染者数が少ない。

 田中 JKKでは、岩手県の宿の副会長が、流行当初から東京に出掛けられないとおっしゃっていました。地元で止められていたようです。

 大木 愛媛県では、公の立場にいる人は、県の許可を得ないと上京できない。私も全旅連の会合を昨年は何回か欠席した。30年来の全旅連活動の中で初めてだった。

 

 ――ウィズコロナ調査研究会は新年度から委員会に形を変える予定だ。

 多田 避けて通れない問題だから、しっかりと取り組む必要があると、正副会長の意向を聞いた上で、そのような形にする予定だ。

 大木 新しい経営の在り方、新しいお客さまの旅へのニーズを研究し、全国の仲間に発信することも今後の方向性になろう。

 

 ――ウィズコロナの時代がいつまで続くか予想できない中で、今を生き抜くために、何が必要か。

 大木 「400日間の闘い」の表紙にも書いてあるが、国内の延べ宿泊者数は2019年の5億9600万人から、20年は3億600万人と、48%も減少した。そして闘いはいまだに続いている。

 お客さまが半分に減ってしまった。外国人客はほとんど皆無だ。

 とにかく元に戻す。早く戻すために全旅連はエネルギーを集中し、知恵を出していく。難しいことだが、難しいと言ってしまえばそれで終わり。その一念だ。

 鈴木 情報のキャッチが大事だ。いかに質の良い情報を、タイミングよくキャッチするか。

 「情報がない」と言う人がいるのだが、それは情報がないのではなく、情報を取りに行く努力をしていないのだ。

 青年部では、会議に出られない県の代表者には、必ず代理を出してほしいとお願いをしている。

 事業転換など、さまざまな事例もある。とにかくやれることを一つでも多くやるしかない。

 田中 私たちJKKは情報のキャッチという意味では多少遅れているところがあり、親会や青年部頼りのところがありました。これからは私たちもできることから始めなければいけませんね。

 今、お客さまで動いているのは40代以下の若い人が多いですね。でも、もう少しすればそれ以上の人が我慢しきれなくなって動いてくるだろうと、その動きをあてにしたプランも考えられます。

 高齢になって、つえを突いている人も、体のどこかが悪い人でも「でも、旅行したいの」と、今まではよく来てくれました。京都の女将会で、お客さまをバスでいろんなところにご案内するプランを行っていますが、歩くのが無理に見える人でも「女将と一緒に歩けるから」と、来ていただいています。

 そんな人たちのためにも、今の時期にバリアフリーを整備するのがいいですし、そのための補助がもう少し手厚くあればありがたいですね。

 インバウンドは、元に戻るまでは、あと2年はかかると思っています。今、うちのスタッフで、中国語を一生懸命勉強している子がいます。「2年たったらちょっとぐらいはしゃべれるようになる」と言って、頑張っています。

 語学は英語を筆頭に、これから必ず必要になります。今は通訳案内士の仕事がないこともあり、セミナーも多く開かれています。積極的に受講して、2年先の時代に今から備える。

 そこまで何とか耐えて、受け入れ態勢を作る、というのが今の時期に必要ではないでしょうか。

 多田 感染防止とともに、旅行の個人化に対応するための施設の改修が必要になるが、お金がかかることなので、やれるところとやれないところがある。行政の手厚い補助が必要だ。

 スタッフのモチベーション維持も大事だ。雇用調整助成金を受給して、従業員を休ませている宿も多いだろう。だが、「同じお金をもらえるのなら、休んでいた方がいいや」と、従業員に思われていないだろうか。そんな考え方が広がるのが怖い。

 衛生面の対策をしっかり行い、お客さまに「ここは大丈夫」と印象付ける。スタッフの意識、そして一本、筋が通った経営者の意志が必要だ。

 ガードの話が多くなるが、アグレッシブに動くことも必要だ。さまざまな成功事例を収集して、組合員の皆さまに伝えたい。

 大木 このコロナ禍でも、お客さまに来ていただける仕組みを生み出していかねばならない。それにはまず、お客さまに安心して泊まっていただけるよう、安全対策を徹底すること。「あそこなら安心だよね」と、進んで使っていただけるような施設を目指す。コロナ禍が過ぎ、アフターコロナになっても、その意識が必要だし、お客さまの安心、安全に対する意識はさらに強まるような気がする。

 とにかくみんなで議論して、いい知恵を出して、全国の仲間に「安心ブランドになる接客行動とより強い施設対策」をいち早くお届けする。それを全国の宿で実践し、アピールすることが、大きな発信力になる。これがわれわれ全旅連の使命だと思っている。

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