【体験型観光が日本を変える364】変わる夏休みの過ごし方 藤澤安良


 今年の夏休みはパリ・オリンピックがあり、パラリンピックも始まりあわただしい夏となった。猛暑とゲリラ豪雨が連日繰り返され、夏休みの帰省の帰りのピーク16日は台風の影響で新幹線や航空機が計画運休になった。

 月末にも台風が列島に大雨をもたらした。花火や夏祭りやイベントが中止や延期になったケースも多い。天候に翻弄(ほんろう)された夏休みとなり、観光的にも大きな影響を与えることになった。

 夏休みが終わり、新学期が始まった。今年の夏休みはいっぱい遊び、旅をし、親の故郷へ帰るなどさまざまな体験をし充実していただろうか。子供たちはしっかり夏休みの宿題をしたのだろうか。いつの時代も変わらないのは、夏休みの前半にやってしまう人、毎日計画的にやる人、終わりの1週間に慌ててやる人と3種類に分かれる。

 さすがに絵日記は前もって書けないことから毎日書くことになるが、それでも終わりの週に、過ぎた日の天気を気象台に問い合わせ、日々の出来事を思い出しながら書いた者もいた。大変な苦労である。結局、毎日計画的であることが合理的であることを理解する機会にもなった。

 夏休みの過ごし方もさまざまであるが、私が子供であった時代は田舎の山で昆虫採集や川での魚つかみなど野外活動が日課であった。わが子が夏休みを過ごした時代は頻度は低くとも自然体験の機会はあった。

 孫の時代となった現在は、もっぱらインドアでゲームとユーチューブを見ているばかりである。そういう意味では生活は様変わりしている。屋外で遊びほうけていた時代を誇らしく懐かしく感じている。それはあらゆる体験が人生に大きく役立っているからでもある。

 学校や家庭での机上学問のみでは成しえない、自然との共生、社会性、人間関係構築能力などの人間力をどのようにして養うのかが大きな課題である。

 修学旅行などの校外学習の機会を有効に利用し、その課題に取り組むには、家族旅行でも行けたり、生徒時代でなくても行ける名所旧跡、神社仏閣やテーマパークではなく、豊かな自然ばかりの日本の田舎に行けばいい。

 日本の食文化を担う食料生産現場の農山漁村で民泊し、とれたての食材でつくる田舎料理を味わい、交流を深め、そこに生き続けている人々の生き様に触れ、普段の暮らしの中では得られない体験が後の人生に大きな影響を与えることになる。

 さらには、パーツがパッケージされ、決まったものができるプラモデルのようなものではなく、木工、竹細工、つる細工などの伝統的で想像力と創造力が試されるものづくりも貴重な体験である。しかし、現状は旧態依然のオーバーツーリズムで動きにくい観光地やバーチャルな世界のテーマパーク等が定番である。

 現代の児童生徒の教育事情や生活から鑑みて、新しい時代の修学旅行が求められている。本紙は今週中学校特集号である。いろいろな地域からの情報が掲載されており、例年踏襲型ではなく、次代の日本を担うであろう青少年健全育成に、時代の求めに合った教育旅行にしてほしい。

 
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