【体験型観光が日本を変える332】労働モチベーション教育を 藤澤安良


 年末になり国会では少子化対策や物価高対策の減税や給付金などの議論は進まず、パーティー券にまつわるノルマ、キックバック、裏金、収支報告不掲載などの言葉が飛び交う。その総額は数千万円とも数億円とも言われている。年末に物価高で家計費を切り詰める庶民からすれば浮世離れしている。

 過疎や高齢化が進む地方では、観光の受け入れをする施設はもちろん、何をするにしても人手不足が深刻になっている。黒字決算しても人手不足で運営できない組織も少なくないと聞く。

 地域や日本にとって必要な産業なら、同族経営にこだわらずM&Aなどで継承されるべきであろう。

 過日、地域振興や宿泊施設経営でアドバイス先の仲間と久しぶりに会食することになったが、宿泊地からお店に行くにもタクシーが18時で営業を終わるという。

 運転代行もなく、結局メンバーの奥さんに送迎をお願いすることになった。当の居酒屋は夜の足がないならもう経営が成り立たないと嘆いている。これもまた、人口減少の影響でもある。

 日本でもようやく有償ライドシェアが議論し始められた。都市部ではともかく、物理的にタクシーが営業しない状況なら、2種免許や事故対応などの課題はあるが、地方から導入を急ぐべきである。

 人の問題は尽きない。仮に人は確保できても、金銭欲もなければ労働欲もなく、働きたくない人が多い。さぼったり、手抜きしたり、楽をして賃金をたくさん欲しい人がなんと多いことか。それは、誰しも思うことだが現実はそう容易ではない。

 また、日本大学アメフットや宝塚歌劇団など、役員や管理職など、そこそこの地位ある人の記者会見では、潔さがみじんもなく、ごまかそう、逃げ切ろう、私は悪くない、責任もリスクも負わない人がなんと多いことか。給料をたくさんもらっているただのおじさんである。それでは部下はやってられないという人が多いはずである。

 都内の飲み屋では、会社や上司批判がうごめき、忘年会の格好の酒のつまみとなっている。部下も上司も真っ当に働かないなら、地方も日本もどうなるのか心配は募る一方である。

 日本中、人材不足は否めない。地方の温泉施設の露天風呂のみが冬季閉鎖するという。加温にかかる燃料代の高騰により採算が取れないという理由は理解できないわけではないが、それを経営者ではなく従業員からの提案というから驚く。従業員の清掃、施設管理の業務が減少する。

 つまりは、労働の負荷が軽減される。従業員に給料は減額してもいいですか、と言うと黙り込んでしまうだけ。その間の売り上げをどう伸ばすのか考え行動しなければならない。

 働かない選択だけでは組織は維持できない。冬眠したい動物のようになっている。食料不足の今年は熊は冬眠できずに動き回っている。観光産業にとってスキー場以外は人が動きにくい季節を迎える。春からの準備はもちろん、労働モチベーション教育が未来を開く鍵になる。

 
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