【体験型観光が日本を変える315】社会や客を見ない企業体質 藤澤安良


 過去に例がないような猛暑日が何日も続いている。ゆだるような暑さとはこのことである。

 WMO(世界気象機関)などは7月27日、今年7月の世界平均気温が月別の最高記録を更新し、史上最も暑くなることが確実と発表した。国連のグテーレス事務総長は「地球温暖化の時代は終わった。地球沸騰化の時代が到来した」と危機感を示し警鐘を鳴らした。

 世界の温室効果ガスの8割はG20(主要20カ国・地域)が排出していると指摘し、「G20による野心的な新排出削減目標が必要」と訴え、各国に気候変動対策の強化を求めた。日本も少子化対策と同様に気象変動対策に取り組まなければならない時である。

 またもや大手企業の不正取引が連日報道されている。近年急成長した会社なのであろうテレビコマーシャルが頻繁に流れており、知名度が高い中古自動車販売会社で、長年にわたって保険の水増しや不正請求等が常態化していたことが明るみになり、さらには、除草剤を使った生け垣の手入れなど環境問題にも配慮がなかった。

 企業体質の問題である。これまでにも、いろいろな業態の大企業での不正は何度もあった。自己中心的で独善的な経営体質に起因し、ノルマや企業利益のみを価値観としている点が共通している。その場合の社員は総じて上ばかりを気にしており、社会やお客をほとんどで見ていない。企業は消費者であるお客のニーズや立場を尊重すべきは言うまでもない。

 また、CSRやSDGsといった社会との関わりなくしては存在できない時代である。顧客と社会を裏切らず社会に貢献する立場が求められている。そのためには、コンプライアンスの問題は1丁目1番地である。

 宿泊業や交通産業などの観光産業も、歴史も古いが体質も古い。コロナ禍で空気の換気をしたが、スタッフ間の心や意思疎通の風通しが良くなければ組織は持続できない。

 社会は変化している。ハワイよりも東南アジアリゾートよりも暑い日本に多くの外国人が訪れている。韓国や台湾が多いが、タイやマレーシアからも来ている。日本からの格安海外ツアーの設定も少なく、国内のツアーバスもありきたりの観光地巡りでは集客できない。

 内外ともに観光が大きく変わり始めている。ベテラン社員が正しいとは限らない。むしろ、現代のマーケットのニーズと合っていない場合もある。しかし、若者の直感も外すことがしばしばある。つまりは、男女や異年齢、立場の上下を越えた議論を盛んに行うべきである。
 役職上位者が責任も取らずに命令に従わせようとすれば、人材は逃げだし集まらず、硬直した組織となるのは必定である。残念ながら、新しい経営戦略や新しいビジネスモデルやプロジェクトに挑戦している観光関連産業は少ない。

 アフターコロナは今までの価値観も課題もリセットし、新たな時代を築くかのような志を持って、新たなる目標の達成や課題解決に向けて抜本的な改革改善が必要である。逃げてもいけない。魂まで夏バテさせてはいられない。

 
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