全国各地で梅雨が明け、連日の気温が30度後半の猛暑日が続いており、炎天下では40度をはるかに超えている。そんな中、学校が夏休みに入った。コロナでの制限がない夏休みとあって、家族連れの旅行が計画されており、業界情報によると、宿泊日数も旅行費用もともに前年を大きく上回る見込みである。
しかし、高速道路は特殊だがガソリン代がレギュラー190円、ハイオクが201円とSAのスタンドは見たことがない高値になっていた。また、インバウンドが多い都市のホテル代が軒並み2~3倍になっている。家計に与える影響も心配である。
この暑さで、涼を求め、水遊びがしたくなるのは当然である。しかし、楽しいはずの夏休みの初日の21日に福岡県の川で、女子小学生3人が溺れて命を落とした。発見場所は深みであった。彼女たちの体験や想定から違うことが起こったはずである。
また、17日には高知県で警備員の40代の男性が水深50センチの流れの速い河川で流されて水死した。いずれも原因は捜査を待つとしても、つらく残念な事故が続いている。
2017年の水難事故死者は1742人にも上った。海や川や湖での活動機会が多い夏休みの水難事故をどう防ぐべきか。水辺に寄り付かなかったり行かないことではなく、大自然と向き合い共生しながらの安全対策や危機管理が求められる。
東日本大震災では水深35センチの津波でも足を取られて流されている。水深1メートルでも流れが緩い場合は耐えられる。自分は泳げると言っている子どもも大人も静水のプールでのことであり、川の流れや急な深み、海での離岸流は経験がなければ対応できないこともある。自然界では過信は禁物である。
危険は水難だけではない。ハチやマダニ等の害虫、ハブやマムシなどの毒蛇、サメなどの水生生物など、自然体験の中から学ぶことが大切になる。今、多くの子を持つ親も、学校の教員も、スポーツクラブのスポーツスタッフも、子どものころからの自然体験もキャンプも登山の経験も少なかったり、ほとんど未経験である。
つまりは、安全対策も危機管理も十分理解をしている人は極めて少ないことになる。田舎育ちの私は夏休みの半分以上の日数を川遊びで過ごした。死に至るほどの危険はなかったが、危ないと感じたことは覚えており、それは、ずっと生かされ続けてきている。体験から学ぶに勝る教育はない。
従って、その体験活動を未経験者が行う時、それをサポートするプログラムインストラクター研修を実施しており、それぞれのプログラムで想定できる限り対応したリスクマネージメントを行うこととしている。せっかくの夏休みはぜひとも、室内でゲームや都会のテーマパークではなく、田舎のほんものの海山川と大自然の体験をしてほしい。
過日は田舎の里山でカブトムシやクワガタが樹液を求めて寄り付くクヌギの木を見つけ、大人ばかりで昔懐かしく虫取りの経験談に花が咲いたが、今の子どもたちもそんな機会が大切である。