【体験型観光が日本を変える298】人の行動こそが未来エネルギー 藤澤安良


 ロシアのウクライナ侵攻から1年以上がたち、終戦の糸口すら見つからず膠着(こうちゃく)状態が続いている中、岸田首相がウクライナの首都キーウを訪問し、ゼレンスキー大統領と初めて対面での会談をした。

 安全確保のため、ウクライナの訪問は公表されなかった。そのため国民には電撃訪問となった。5月開催のG7のメンバーで最後の訪問となった。時折りしも、中国の習近平主席がロシアのプーチン大統領と会談のため訪露中であり、結果的に絶妙のタイミングでもあった。

 これは結構なビッグニュースだが、日本国内の報道は連日WBC大活躍で多くがその話題となった。国民の願いと応援の賜物か、大リーガーのスター選手をそろえるメキシコと米国に勝利し14年ぶりの優勝となった。

 日本は、若手投手の好投と選手、監督コーチ、スタッフなどそれぞれの役割を果たしており、チームワークがとてもよかったように見えた。どの場面もドラマのような出来事ばかりであった。後日談が1週間以上もテレビで流れている。

 栗山監督も多くの局での出演で多忙な毎日であった。それからも明らかに、野球の面白さが伝わり、奥の深さや人間ドラマが、人々に大きな感動を与えたことになる。

 野球の技術やメンタルはもちろんだが、監督の人心掌握術や、最年長でWBC経験選手であり、アメリカで活躍しているダルビッシュ選手のチームへの技術的なアドバイスや精神的なリード等、功績も存在感も大きいことが分かる。つまりはチーム作りで人間力がどれほど大切で必要であったかが明確である。

 岸田総理も戦時下の現場へと動いた。WBCもチームを応援に渡米した人、会社を休みにしたり、就業中にテレビ観戦が認められたり、グッズを買うために並んだ人、野球を当てに飲んだ人など、国民も大いに動いた。大きな経済効果を生むことになった。人の行動こそが未来エネルギーである。

 さらには、人を動かすには自分から動くことだという教訓を得た。日本の組織(行政・学校・企業)にとって何が足りないか、どう行動に移すべきかを学ぶ機会となった。

 WBC優勝に合わせて例年より10日近くも早く咲いた桜が散り始める。物価高の新年度が訪れる。春闘で満額回答や、いい結果を得た大企業はあるが、大半の中小企業はまだまだ厳しい状況が続く。観光業界もコロナ後を見据えた今年からの立ち上がりがとても重要になる。

 高付加価値、高価値高品質、高満足、そして利益が取れる適正価格の観光業界に変化が不可欠である。今までの、ルーティーンではない。コロナ禍の借り物の厚手のコートは脱ぎ捨てなければならない。

 某CMは「そこに愛はあるのか」と問いかける。暇つぶしでも、時間稼ぎでもない。「旅に感動はあるのか」と問われている。社会や誰かのためになる「人間力」を高める「学びの旅」「人との交流の旅」などもうかり売れる商品素材は山ほど眠っている。探し求め、起こすために現場を訪れる。「行動力があるのか」と問われている。

 
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