【体験型観光が日本を変える261】ウィズコロナ時代の旅行 藤澤安良


 6月に入って、入国者制限が2万人に拡大されるのに先駆けて、実証実験での添乗員付きの訪日観光グループが訪れている。残念ながら日本国内か否かは別にし、訪日外国人が感染したとの情報がある。

 日本人でも感染経路を把握できる状況にはなく、市中感染としてもう特定しようともしない。今後は、コロナとどう付き合っていくのかに焦点が移っている。

 そんな中で、各県各地域で宿泊や体験プログラムや飲食にも可能な割引システムが動いている。個人家族等の少人数単位のマイカー旅行は動いている。

 しかし残念ながら、土・日曜の高速道路の渋滞に、コロナ前までは定番の貸し切りバスがほとんど見当たらない。

 ツアーバスや旅行商品が活発に動いている様子は少ない。団体旅行の観光需要が大きく個人化する方向になっている。旅行業界もその傾向に向けて、あらゆる戦略を駆使して顧客の取り込みに動かなければ、旅行業界が旅行業の蚊帳の外に追い出されかねない。コロナ後の持続化に向かって知恵と行動が求められている。

 その持続化給付金は当社も受給し、赤字減少になりありがたかった。しかし、ここにきてその給付金を不正に受給したとする詐欺が何件も発覚しており、残念ながら総額数十億円に達する模様である。

 各県や各自治体での観光割引制度でも架空請求した旅行会社も存在している。旅行業界の行く末は、違法や不正など姑息な手段ではなく、旅行客と消費額の拡大により業績を確保することが本分である。

 旅行業界は長きにわたって価格競争を繰り広げてきた。薄利多売で身を削りながら苦労を重ねてきたが、確かに安さは消費の動機にはなるが、顧客満足度が決して高いとは言えない。

 食べ放題、お土産詰め放題の企画もお客が集客できる要素ではあった。ツアーには参加していないが現場で見てみると、詰め放題の容器のふたが閉まらず、無理に押し込む様子は、とても食品を大事にしているとは思えない。

 また、食べ放題バイキングでそんなたくさんのすしを本当に食べるのか、とても体に悪いツアーである。お客はそれなりに喜んでいるのであろうが、人間の物欲の性が見て取れて、わびしい気持ちになってしまう。

 旅により、通販や取り寄せではかなわない、希少なるもの、鮮度が極めて高いもの、現場でしかできない体験、現場でしか聞けない話、なかなか出会えない景観などの素材を旅にしたならば、特別な感動が得られるに違いない。

 それらを企画プロデュースする旅行会社の社員は現場を訪れ、何を土産につけるか、どれだけ安く仕入れるかなど価格交渉ではなく、どのようにしたらお客が感動をし、目頭を熱くして、心高めてくれるのか、企画内容を交渉しなくてはならない。

 できない理由を、時間がない、忙しい等と言い、企画し販売する者が現場を訪れたことがない。そんな現実が横行している。付加価値の高い商品なら、利益が出る価格設定が可能であり、その道を進まなければ、旅行業界の未来はない。

 
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