【体験型観光が日本を変える252】国内・国際、新年度は難問山積 藤澤安良


 ロシアのウクライナ侵攻は犠牲が増えるばかりであり、EU、NAT0、G7と相次いで各国首脳が集まり会議をし対策を考えたが、すぐさま停戦にはつながらず、世界中が手をこまねいている。残念ながら権力者の1人の暴挙に対してあまりにも無力である。

 日本も8千キロ離れたヨーロッパの出来事だが、他人事ではいられない。ロシアとの北方領土問題も棚上げになったが、私はもともと返還する気があると思ったことがない。この時代に軍事行動でウクライナを屈服させようとする人物が、過去に同じような手口で占領した領土を返す道理が考えられない。

 ただ、停戦後のロシアが極めて弱体化した場合には動くべきであろう。北朝鮮のミサイルが青森県沖の排他的経済水域内に落下した。同種の権力者の政治形態である。

 ロシア向けの経済制裁は日本の経済も大きく影響を受けることになる。戦争当事国が原油や小麦の生産国であることからも逼迫(ひっぱく)するのは当然である。ウクライナ侵攻が起こる前からガソリン代が高騰し始めていたり、円安が進む中で輸入品の値上がりは防げない。また、食料品の値上げが相次いで予定されていた。

 実質賃金の上昇がほとんどない中で、そこに加わったこの状況は後に国民生活に大打撃を与える。衣食住の先にある観光への消費に可処分所得が回るのか心配は高まる。

 また、新型コロナウイルスの国内ではまん延防止等重点措置も解除され、感染者数も下げ止まり傾向にある中、スポーツイベントなどは相次いで有観客で開催されている。しかし、BA2なる変異株のウイルスにより、欧州での感染者が増え続けている。またもや、日本もその状況に備えなければならない。

 新年度がスタートした。入学・入社の時であり、心機一転、明るい年にしたいと思うが、現実社会は難題山積と言わざるを得ない。
 とりわけ、世界の多くの国が主食としているパンの原材料の小麦は、生産量の減少とそれに伴う値上がりは避けられず、世界的な食糧危機になる可能性がある。

 縄文時代後期から続いていた日本の主食も、2012年に米とパンの1世帯当たりの消費額が逆転しパンの方が上回る結果となった。稲作農家は減反政策や生産調整を行い、耕作放棄地も増え続け苦境に立たされている。

 米離れは、漁業にも影を落とすことになる。刺し身や焼き魚をパンと食べる人はほとんどなく、お茶と梅干しと漬物もご飯でなくてはならない。煮物・和え物・酢の物・天ぷらも同様である。農山漁村の食料生産現場での米・野菜・山菜・果物・魚介類等が和食文化の根幹をなしていることは言うまでもない。

 日本は元来米文化の国である。今なら少し前に戻れる。産地は旬の新鮮な物をおいしく食べている。そんな現場を訪れ、生産に触れ、食に触れ、人に触れる偽りなき体験が日本の食文化の回復と継承につながる。

 食糧自給率を上げ、農山漁村の振興と食糧危機に備えなくてはならない。あらゆる国内旅行を、食べるだけの食から、食文化体験から深く学ぶ旅にしたい。

 
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