【体験型観光が日本を変える242】コロナ対策の不手際 藤澤安良


 新しい年を迎えて、2年に及ぶコロナ禍から脱出する年としたい。しかし、新年明けてからオミクロン株が従来のデルタ株と併せて全国に広まり始めており、在日米軍基地でオミクロンが猛威を振るう中にあって、その影響を受ける沖縄県や山口県岩国市は市中感染の懸念が高まっている。

 政府は国際空港などの水際対策を強化しているが、出国時に検査陰性で搭乗しているにも関わらず、日本の空港で陽性が確認される事例が少なくない。また、両方陰性でありながら、ホテルで隔離1週間とさらに1週間の自宅待機が求められている。検査陰性でこれだけの対策が必要なのか疑問が残る。

 空港やホテルからの独自ルートのレポートによると、まずは、空港での対応スタッフは親切な国の日本の印象とはかけ離れた配慮に欠け、要領が悪く行動が情けない。ホテルでの隔離は当たり外れがあってはならないが、ホテルで対応する意味が部屋の確保以外に意義を見いだせないぐらい全てに不便であり、配慮に欠ける対応が横行している。

 激寒のこの時期に毎回冷たい弁当。今時、洗浄式トイレでもなく、浴槽の排水が悪くトイレまで水浸しになる設備の悪さ。長期の滞在ともなればいろいろなことが想定され、必要な備品や生活用品などを常備したり貸し出したりするのは当然である。とりわけ、幼児や子どもを持つ家族などには特段の配慮が必要である。対応の不手際や基本的な生活レベルとはかけ離れた劣悪な境遇を強いられている。

 日本は親切や配慮のできない緊急時や非常時に弱い国である。多様性が重要と言いながらその多様性に対応が追いついていない。

 カウントダウンの渋谷駅前では警察官の静止を押し切り、大声を出し踊り狂うなど、大騒ぎをする若者が大挙押し寄せた。大阪の道頓堀では、昨年死者が出て警察が警戒する中で激寒の道頓堀川へ飛び込む人が相次いだ。

 それらの行為は、不満や鬱憤を晴らすためなのか、コロナ禍での行動制限や失業や減給などのコロナ不況が少なからず影響しているとも考えられる。

 しかし、それらの行為では根本原因を除去するには至らない。コロナ禍において他国に比べて感染者が圧倒的に少ない日本が、経済や企業価値において隣国や欧米に大きな差を付けられている。若者がそんなことをやっている場合ではない。

 日本は残念ながら労働意欲などのやる気が先進国の中で最低であるとする統計が発表されている。ITなどテクノロジーは格段に進化してきた。人間力もそれ相応に発展と進化が求められるが、前述のホテルの対応のように、観光業はもとより行政の対応など、全ての業種に顧客対応能力や経営能力など人間力の低下は否めない。

 バブル崩壊後、企業や公務員は正規社員と教育研修機会を減らし、人に対する投資を怠ったツケが今に出てきている。すなわち、やるべきことは労働意欲向上や多様性に対応する人間関係力の教育研修の充実である。未来を開く鍵は教育であり、それは体験教育に他ならない。

 
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