【体験型観光が日本を変える24】安全対策を十分に 藤澤安良


 またもや北朝鮮が日本海にミサイルを撃った。内戦で混迷が深まるシリアでサリンと思われる化学兵器を使用した空爆があり、子どもが苦しむ姿や幼児の遺体など悲惨な姿が映像に捉えられた。それに対応するかのように米国が59発もの巡航ミサイル、トマホークを撃ち込んだ。米中首脳会談が行われ、晩餐会の真っ只中の出来事である。

 さらに米国は原子力空母カールビンソンを原爆実験が近いのではないかと言われている北朝鮮に向けて展開している。韓国の大統領が現職で逮捕されるなど混乱を極めている中で、北朝鮮に向けてトマホークが撃ち込まれるならば、朝鮮戦争の再発となりかねない。

 わが国は対岸の火事では済みそうもない。平和であればこその観光産業である。大事にならないことを祈るばかりである。

 日本では3月末に季節外れの大雪になり、雪山で訓練中の高校生らが雪崩に遭遇し、若い8人もの命が奪われた。犠牲者の冥福を祈りたい。

 雪崩が予想されていた中での雪山訓練の催行は、安全対策や危機管理の面から、指導者である教員の「絶対大丈夫だ」との判断に疑念が残る。予定外や想定外がもう通じない。春が近づく冬山の自然で「絶対」はない。

 あらゆる危険を想定しての判断が求められている。スキー場の管理者ならともかく、雪山に毎日いる学校教員などいるはずもなく、つまりは、経験豊富な人もいるはずがない。年数よりも回数であり、体験頻度である。いかに体験が大切であるかを思い知らされることになる。皮肉にも、その体験をさせたいとして無理をしたのかもしれない。体験型観光における体験プログラムの運営管理でも、同様に安全対策や危機管理が十分でなくてはならない。

 東北、北海道を除き全国各地の古刹や神社、学校の校庭、公園、川の堤、町の並木などからさくら満開の便りが届く。菜の花も咲き始め、田舎の田んぼではトラクターでの耕起や代かきが始まった。美しい日本の春の息吹と平和を実感することになる。

 その素晴らしい日本で、生涯未婚率が過去最高となり、50歳まで未婚の男性が4分の1で、女性が7分の1であるとの調査結果が報道された。これだけ結婚しない人がいるなら出生率も減るに違いない。

 政令指定都市、静岡市の人口が70万人を下回ることになった。新幹線と東名・新東名高速道が走る交通の要衝であり、富士山を望め、工場も多く職場も多いはずだ。温暖で住みやすい地域であり、人口はむしろ増え続けているのでないかと新幹線の車窓から眺めながら感じていた。

 大都市集中と言われながら、政令指定都市でその状況なら、地方都市や田舎の町村は推して知るべしであろう。人口減少にまで歯止めはかからずとも、地方創生や地域振興の政策の核となる交流人口の拡大は、全国共通の大命題である。観光地のない地方でも、迷うことは何もない。体験型観光推進こそがその究極の手法である。

 
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