【体験型観光が日本を変える230】行動規制緩和には医療体制充実を 藤澤安良


 緊急事態宣言が全国各地に出されている中、シルバーウイークと称される9月18日からの3連休などを利用して多くの人が観光に出向いた。高速道路の渋滞情報や、テレビのニュース映像からも首都圏の観光地の混雑具合はコロナ前に近い人出となったところも多い。人流の抑制に歯止めが効かない状況である。ワクチンを2回接種済みだとマスクをしない人が増えており、気の緩みが心配になる。

 福井県は22日、新たに新型コロナウイルスに感染したうちの32人は、2回のワクチン接種を終えた「ブレークスルー感染」だったと報告した。ワクチンが万能ではないことも証明された。

 2週間後の10月上旬の結果が待たれるが、つまりは、人は動いても感染防止対策がしっかり行われることにより、感染拡大が抑えられているとも理解できる。しかし、今まで通りもしくはそれ以上の感染防止対策を同時に行う中で、行動制限緩和の方向に進むべきである。再度、国民の意識醸成が必要になる。

 ワクチンの接種状況も2回目接種者が全国民の55%以上となり、ここに来て欧米にやっと追いついた感じがする。しかし、欧米各国は社会経済を動かすためにワクチン接種の義務化や、接種済みや検査陰性の証明書保持の義務化などが進んでいる。

 接種完了率が全人口の65%を超えたフランスでは、7月から映画館やスポーツ観戦に、8月からは空路や鉄道の長距離移動に証明書の提示を義務付けた。皮肉なもので、3万6千人が偽造した証明書を所持していたことが明らかになった。

 日本では現行法の下では強制や義務化は差別助長の懸念もあり、すぐさま同じようにはいかないまでも、10月から、偽造できないワクチン接種や検査陰性の証明書が条件となるであろうが、スポーツ観戦や音楽イベント、飲食店や県境を超える旅行などの行動制限緩和の実証実験を行うことになっている。それによっては11月から何らかの行動規制緩和が実施されることになるであろう。

 感染者数は確かに減少しているが毎日死者は数十人に上っており、仕方ないのではなく、1人も命を落とすことのない医療体制ができてこそ、次のステージへ進める。

 自民党の総裁選が真っただ中である。ここにきて、新規感染者の減少に伴ってか、医療体制強化が少しトーンダウンしている。総理なる資格とは、第6波に備えて、自宅療養で死者が出るなど不備が続いた医療体制の充実を図ることが条件の一つとなる。

 ファイザーでは5歳以上の接種にも問題ないとした治験の結果が発表されたが、日本では低年齢へのワクチン接種拡大に慎重だ。他国や民間ではすでに始まっているが、政府が検討し始めた社会経済活動復活に向けた行動規制緩和政策について、逃げたり語らなかったり、メッセージ性が足りなかった反省を生かして、発信力を強化し国民の理解と協力を得られるよう信頼の回復をする。それらを柱にし、とにかくなんでも遅いから脱却し、素早い行動を起こすことを望みたい。それらを総理の資格としたいが国民の願いでもある。

 
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