【体験型観光が日本を変える22】当事者意識と責任感 藤澤安良


 連日、新聞紙面やテレビ報道で、森友学園問題をめぐる国会の代表質問で釈然としないやり取りが繰り広げられ、証人喚問まで行われる異常な状態が続いている。一方で、東京都でも、高濃度の汚染物質が検出されたり、盛り土工事が行われていなかったり、巨額の工費が問題となっている豊洲新市場への移転をめぐって、都議会の百条委員会で多くの人が証人喚問に立っているが、依然として疑惑は解明されないまま、日々巨額の経費が掛かっている。

 いずれの問題も、組織なのか、その中の誰かなのか、政治家なのか、誰が関与し、どのような関与、忖度があったのか、なかったのか。誰も関与していないし、誰もが悪くない、責任を誰も取らない。書類もあり、メールのやり取りのコピーもあり、面談記録もあり、手紙もあり、これだけみんなが関係しているのに「関係がない」と言うなら、何を持って関係と言うべきか。まるで犯人のいない殺人事件のようだ。

 これだけのことが起こっているのは悪い人がいっぱいいるのか、国や地方行政の仕組みが未熟なのか、はっきりしなければ納得しないであろう。書類については、豊洲も、森友も、黒塗りにされていたり、一部に破棄したなどと、優秀なはずの公務員が言い訳できる行状ではない。南スーダンでのこれまでの戦闘の報告がされず、あるいは、されたがどこかでもみ消されたか、シビリアンコントロールのどこに問題があるのか心配が残る。

 主権者は誰なのか、国民の知る権利や情報公開はどこにいったのか、政治への不信感が高まるばかりである。帳尻合わせも、無かったことにするのも全てに無理がある。保身、面子、立場、利権が優先している。国民が選挙で投票し、その付託を受けて今の地位にいるわけだから、首長や議員はもとより、行政職員も、出世や自分の退職後など、上ばかりを見ているヒラメのようであってはならない。見ているところが違う、住民を見ろ、と言わなければならない。

 新年度が始まった。地方創生、地域振興、体験型観光振興においても、「誰かがするだろう」「面倒なことはしたくない」「私は部署が違うし関係ない」「自分の任期中は何もしないでやり過ごせたら」など、問題意識も当事者意識もなく、一体あなたは何ものなのかと言うべき人を数多見てきている。そんな意識が役所にまん延している地域が、地域振興を成し得るべくもない。

 2016年のGDP(国内総生産)が世界第3位の経済先進国の日本は、経済的尺度では測れない豊かさを数値化し、国民生活の豊かさを示すHDI(人間開発指数)では17位だった。そのギャップは大きい。本当の豊かさを追い求めなければならない。

 人事異動もあり、新入職員も入り、歓送迎会で飲んだくれるだけではいけない。この国の未来に関係していない人は誰もいないはずだ。心機一転、当事者意識と責任感を持って行動しなければならない。

 
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