新型コロナウイルス感染は変異株の拡大と相まって、緊急事態宣言の延長に続いてまん延防止等重点措置の地域も19都道府県に拡大し、5月末や一部6月中旬まで延長されている。
頼みの綱のワクチンについては、医療関係者に続き、各地で混乱が相次ぐ中、65歳以上の高齢者の接種も始まった。菅義偉首相は高齢者に対する接種を7月末までに完了すると公言している。実現することを期待したい。
これまでワクチン接種の対象年齢が16歳以上とされていたが、英国やインドなどの変異株ウイルスが拡大し、若年層でも重症化するなどと言われている中、米国では12歳から15歳までも接種の対象となり、さらには乳幼児までも対象にすべく治験を開始した。日本でも、12歳以上を対象とすべく検討に入ったという。
クラスターとは言わないまでも、家族間での感染が多くなっている。昨年の休校、学校行事や修学旅行が縮小や中止、部活動まで制限されてきている。中高生の学校生活をより充実したものにするためには、中高生はもちろん乳幼児含め、全国民が接種できるような条件と環境を整えるべきである。
さもなければ、家族間で接種済みの人と未接種者が混在し、テレワークや子どもの部活自粛、公園使用禁止など、家の中に閉じこもる機会も多く、家族旅行など家族での外出もままならず、ストレスは高まるばかりとなる。
一方、欧米ではワクチン接種が進んでいることからも、マスクや飲食の規制まで緩和されつつある。ロックダウンなど厳しい感染対策を行い、新規感染者ゼロとなったニュージーランドと、外国渡航者のみ1桁で感染経路不明者ゼロと抑え込み、ほぼ終息したと見られるオーストラリアの2国間では観光の渡航が再開された。うらやましい限りである。
日本は感染まん延後1年半も経過し、オリンピック開催が2カ月後に迫るという大事を抱えながら、ワクチン接種は欧米に比べて遅く、ここにきて感染者は拡大し、医療は逼迫(ひっぱく)し、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置は延長された。残念ながら、何か取り残されているような気がしてならない。
4月下旬に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出ていない地域の成田空港から、出ていない地域である沖縄の中部への旅行をしてみた。航空機内も3割程度の搭乗率で、現地到着後はレンタカーを利用した。ホテルは宿泊者数も少なく、安全対策もしっかり取られており、飲食店の時短営業も酒類提供時間も店内の安全対策も取られていた。都心の駅や通勤電車のテレビ映像に比べても、その間いずれの場面でも不安や危険を感じる場面は全くなかった。
これまでのコロナ感染防止対策やワクチンの進捗(しんちょく)状況を見ると、想定外や予想外そして混乱が続く。微に入り細に入りというきめ細かさや、周到な用意が得意なはずの日本人の能力が退化したのではと思える。人流抑制と言いつつも、今こそ想定を張り巡らせ個別多様に詳細に条件提示しつつ対応策や政策を講じ、観光産業を含む経済を動かすことが求められている。