【体験型観光が日本を変える211】コロナ重症者数が過去最高 藤澤安良


 新型コロナウイルスの感染者は増え続けており、多くの道府県で過去最高を記録し、さらには、重症者数も過去最高となるなど厳しい状況である。そんな中、緊急事態宣言は5月末まで延長され、まん延防止等重点措置の地域も拡大している。

 ゴールデンウイークは自粛要請の合い間をかいくぐり行楽に出かけた人も少なくなかった。野球、サッカー、ラグビー等は一部を除き観客を入れて開催している。沿道での応援自粛を要請しながら、札幌でハーフマラソンオリンピックテスト大会も開催された。

 感染拡大から1年半がたとうとしており、東京オリンピックの開催も危ぶまれる今日、何が悪くて、どこまでならいいのか釈然としない。

 何をするにしても感染者をゼロに抑え込む以外に手はない。そしてその頼みの綱は、検査とワクチンである。これは結局1年前から何も変わらないし、進歩していない。むしろ、なぜかオリンピック開催国なのにそれらは大きく遅れている。

 都内の開業医が5月8日でまだ1回目のワクチンすら接種できておらず、近くの老人福祉施設に先を越されてしまったと、半ば行政の仕事ぶりに呆れていた。平時であっても、通常業務なのに、こんな体たらくで、民意を逆なでするような不条理な行政の仕事ぶりに怒り心頭なことが多々ある。

 有事と言えるコロナ禍の状況では、無駄や漏れのない、きめ細かな配慮ができないケースが目立っている。業務に対するマインドもスキルが低いようにも思う。これは企業全般に言えることでもある。

 提供している食事の説明ができない仲居や食堂スタッフも少なくない。割引期限が過ぎているのに回収忘れの値札、笑顔も覇気もないレジ係、当事者意識の薄いバイトという名の店員。電話応対がマニュアル通りであらゆるケースに対応できず、お客の思いをくみ取れず、消費者を立腹させるお客さまセンター。また、コロナ禍でのリモートでの、さぼり癖ではなく高効率な仕事を指示・指導できていない組織。日本人の仕事力や人間力が低下していると実感している。

 接客業はより対人関係能力が求められている。仕事ができる人が少なくなっている。それは、できる人からの能力の還元機会が少なかったり、当事者意識や帰属意識、学習意欲の低さも影響している。

 ITやAIの発達は目まぐるしいものがある。バーチャルの世界であるゲームソフトの企業は史上最高益である。機械に近い人間より、機械ではできないことを考え話す、心ある人間になることの重要性を痛感することになる。人間教育を研修室での講義スタイルではなく、現場での体験教育で行う以外にその課題を解決できない。

 一方で、運輸、旅行業界はコロナ禍での苦戦が続いており、JRや航空会社は数千億円、旅行会社も数百億円以上の赤字経営となる。旅こそ、人に会い人と話す、自然や歴史文化に触れるリアリティそのものである。人間性と人間力を高めるためにも、業界を救うのも外出可能な態勢整備以外にはない。それは検査とワクチンである。

 
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